前回のその5に引き続きまして、第2日目のシンポジウム9では3番目の講演として、日本医科大学の耳鼻科の先生が「アレルギー性鼻炎に対する免疫療法」という演題で講演されました。
耳鼻科では、アレルギー性鼻炎に対する最近の新しい治療法として、一つ目には皮下注射(注射の一種で、皮膚の比較的浅いところに行う注射、予防接種もこの皮下注射が多いです)によるアレルゲン免疫療法(アレルギーのもととなる物質を注射する治療法)が行われつつあるとのことでした。そしてこの治療法は成人よりも小児の方が有効性が高いとのことです。
二つ目の有効な最近の治療法としては、同じくアレルギーのもととなる物質を、これは皮下注射ではなく口の中の舌の裏側(舌下といいます)に直接垂らして、免疫力を高めアレルギー性鼻炎を治療しようという方法(舌下免疫療法)です。時に気管支喘息などが起こることがありますが、重症な副作用は稀とのことでした。
しかしこれらの治療法を行える医療機関は少なく、今現在どこでも出来るというわけではなく、今後の治療法といえそうです。
4番目の演題として、埼玉医科大学の皮膚科の先生が、「アトピー性皮膚炎の病態とスキンケア」という演題で講演されました。
アトピー性皮膚炎は、痒みを生じながら慢性に続く皮膚の病気で薬としての皮膚の炎症を抑える塗り薬と、皮膚のバリア機能の改善を目的としたスキンケアが重要とのお話です。赤ちゃんの頃から徐々に皮膚の水分を保つ能力は低下してゆき、アトピー性皮膚炎になると一層この能力が落ちるそうです。そのため保湿を中心としたスキンケアは、アトピー性皮膚炎の発症の予防につながることを力説されていました。
そして、保湿によりこの皮膚のバリア機能を良い状態に保つことで、皮膚から入る卵や牛乳、ダニなどのアレルギーの物質を少なくし、その後のアトピーを防ぎやすくするそうです。このことから、新生児期の赤ちゃんの時期よりスキンケアをすることが重要で、例えば、入浴直後にローションタイプの保湿剤を塗り、就眠前にクリームタイプの保湿剤を使用したり、外出時にはワセリンなどで肌を保護するなどの、保湿剤の使い分けの話もされていました。
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