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日本外来小児科学会春季カンファランスに参加してきて(4)

春季カンファランスの午前中のセッションの、「診察室の外の子ども達」の3番目の招待講演では、「子どもたちの健康問題と学校保健の役割~Health Promoting School を目指して~」と題して、帝京短期大学教授の宍戸洲美先生が講演されました。

宍戸先生は、ご自身が、医療関係のお仕事から始まり、養護教諭を経験され、現在は短期大学で養護教諭を目指す学生さん方に教育をされているお立場から、「学齢期の子どもたちへの健康問題のとらえ方」、「学校保健への取り組み」、「健康教育の発想に基づいた学校保健活動について」などを講演していただきました。

学齢期のお子さんに対する健康問題は、20年くらい前までは保健室の役割が重要でしたが、最近は不登校、タバコ、性、ストレスなどの問題への対策のために「子どもたちへの健康教育」の機能が重要になってきているそうです。

子ども達の「健康に生きる力」を育てるためには、組織的に子どもを取り巻くより多くの人や関係機関とつながる必要性があり、その活動の核になる人が養護教諭の方々です。子ども達の心身のケアや健康教育、健康相談活動を行なって、子どもたちの健康づくりの計画や実践・評価をする事が、養護教諭の学校保健活動の実際だと話されました。

その内容は、まず子どもを丸ごと受け止め、1)子どもの健康実態を明らかにして、2)子ども自身に働きかけて、健康のケアと教育を合わせて集団的な力を組織して、3)教職員や保護者・地域の力をつなげて・広げて、学校教育を社会に働きかけます。目標は「子どもを健康の主体者に育てる」ことだそうです。多様な人や関係機関を巻き込んで組織的に健康教育を行うのが、養護教諭の学校づくりと話されていました。

 さらに、われわれ学校医の大きな仕事であります、子どもたちへの「健康診断」については、健康診断の主体は子どもたちなので、「受けさせられている健康診断」から、「受けてみたい健康診断」へ発展させるために、1)生活の仕方と健康診断をつなげる。2)子どもの要求で学習環境を見直す。3)健康診断と健康教育をつなげる。ことが重要で、そのために養護教諭と学校医が共に健康診断をする必要性を訴えていました。

 最後に、「子どもを取り巻く人と繋がる~学校保健委員会~」構想にも触れられ、子どもの実態からテーマを決めて協議し、組織ごとに具体的な計画を立てて取り組み、その成果と課題を確認することが重要とはなされていました。そのメンバーは、学校医・学校薬剤師・教職員・保護者代表・子ども代表・地域関係者(児童民生委員、青少年対策委員など)・地域関係機関(保健所、子育て支援センター、保育所、幼稚園、学校、教育委員会など)で、これらの関係各機関が協働して、共に活動してゆくことが大切と講演されました。




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