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アレルギー、ワクチンのシンポジウムにて(5:小児喘息治療の最近のトピックス)

 

 先月の東京でのシンポジウムでの最後の講演は、東京慈恵会医科大学小児科準教授の勝沼先生による、「小児喘息治療のトピックス」でした。

 最近の小児喘息の治療でも、長期に使用するいわゆる長期管理薬においては成人と同じように吸入ステロイドのお薬が使われるようになってきました。軽症の喘息のお子さんでも使用されることが多くなり、学童以上のお子さんでは約7割近くのお子さんが使用しているとも言われています。このようにある程度年長さん以上のお子さんで使用されています吸入ステロイドのお薬ですが、最近になっていくつかの新しい試みや報告が出てくるようになりました。

 一つは吸入ステロイド薬の間欠投与についてです。間欠投与とはお薬を常時使うものではなく症状のあるときにやや長めにお薬を使用して治療するやり方です。

本来吸入ステロイドのお薬は長期管理薬と言われ喘息の症状をすぐに抑えるのではなく今後の発作を予防する予防薬ですので、短期間で使用をやめるのではなく長期に使うお薬なのですが、最近の報告ではこのお薬を長期に使った方と症状のあるときにやや長めに使ってその後に調子が良ければ中止した方とを比較したところ、喘息の治り方にそんなに差がなかったという報告でした。

まだ一つだけの報告ですので今後さらにいくつかの報告が出てきて確かめられることになりますが、吸入ステロイド薬のこれからの新しい治療法になるかもしれませんね。

この吸入ステロイド薬については副作用としての身長抑制の問題がありますが、これにつきましても最近は新しい報告がありますので、これらのことに注意しながら使用することが必要になります。

 もう一つは抗ロイコトリエン薬というお薬についてです。このお薬は喘息の飲み薬としては現在では一番多く使用されているお薬です。このお薬の作用として運動した時に発作を起こすお子さんにも使用すると、運動時の喘息発作を抑えるとの報告がたくさん出てきていますので、年長児や学童のお子さんの運動時のぜーぜーを改善するのに役立ちそうですね。

 最後に、これも日本では多く使用されている、気管支拡張剤のテープのお薬についてです。この一日一回胸に貼るお薬は喘息だけではなく、気管支炎の治療薬としても使用されていますが、喘息のお子さんでは飲み薬をすでに長期間使用しているお子さんで風邪などを引いて咳が出てきたときに、病院を受診しないでもお母さんの判断で早めにこの貼るお薬を使用すると、喘息の発作が抑えられやすいということが報告されました。

 喘息の治療は日々進歩していますので、またこのような新しい役立つ情報がありましたら、皆さんにお伝えしたいと思います。

 

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