今回は小児科の学会から、ヘリコバクター・ピロリ菌についてのお話です。この菌は成人では胃潰瘍や胃炎などの原因の菌として有名ですが、
小児でも最近はこの菌の感染症による胃腸炎症状や胃潰瘍の病気が報告されてきています。
今回の学会での最初の報告では2名のお子さんが、腹痛と嘔吐の症状が出現し、症状がひどいために入院をして胃や食道の内視鏡の検査をしたところ、明らかな潰瘍が認められて、そこからヘリコバクター・ピロリ菌が検出されたそうです。
子のお子さん方は、ピロリ菌の感染は初めての方で、初めての感染でこのような強い症状が出てくるお子さんは珍しいとのことでした。
成人の方と同じように抗生物質などの治療で治ったとのことでした。
もう一つの報告では、小学生のお子さんが重症の鉄欠乏性貧血を繰り返すために、内視鏡の検査をしたところ、十二指腸の潰瘍が見つかり、便の検査でもヘリコバクター・ピロリ菌が陽性のため、診断が確定したとのことです。
このお子さんは通常の便の潜血(胃腸での出血の有無を調べる検査)では正常でしたので、なかなか診断が難しかったようです。
発表した方のお話では、意外とお子さんでもこのピロリ菌の感染とそれによる症状を現すお子さんは多いとのことでした。気をつけなければならないですね。
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- 日本小児科学会北海道地方会にて(3:小児のヘリコバクター・ピロリ菌の感染について) from 旭川市小児科【土田こどもクリニック】