旭川市小児科 医療法人社団 土田こどもクリニック


小児肥満


小児肥満とは

小児の肥満とは、昭和30年代から徐々に増加し、現在では学童期の小児の5〜10%にも認められます。原因は、脂肪組織の過剰状態で、小児の肥満の90%が、特別な病気が原因ではなく、単に摂取エネルギーが消費エネルギーを上回るために過剰のエネルギーが脂肪として体内に余分に蓄積された状態です(単純性肥満)。

※その一番の原因は、食べ過ぎにあります。

いつでも何処でも何でも食べられるようになり、特にファーストフードなどの脂肪分の摂取も多くなってきています。

そして過剰に食べることに加えて、テレビゲームや室内生活による運動のしなさすぎにより、身体活動量の減少も肥満の原因になります。
また、夜食などの生活や食習慣の乱れも肥満の大きな原因になります。

こどもの肥満が問題になるのは、ひとつにはこどもの体格が大人まで引きずってゆくことにあります。

1歳半から3歳までの肥満は4割が大人になってからも肥満になります。
さらにその上の年齢では、成人の肥満になる割合はもっと多くなってゆきます。

将来的には、糖尿病や高脂血症、脂肪肝、高血圧、メタボリックシンドロームとの関連が言われています。

また、外傷を受けやすい、皮膚の異常をきたしやすい、運動能力の低下や月経異常も報告があります。

そのため、小児期から肥満を予防し、改善してゆくことがひいては成人病の予防にもつながりますので、お子様の健康の上でも重要になってきます。

【肥満度の診断】

診断は、身長と体重のつり合いから判定され、肥満の目安としての肥満度の診断基準によって進めてゆきます。


*肥満度の計測式は以下のようになっています。

・肥満度(%)=(実測体重--標準体重)÷標準体重×100

(標準体重は、年齢別・性別・身長別に違ってきますので、主に旧文部省学校保健統計調査報告書に基づいて調べてゆきます)


肥満度の判定基準は、年齢性別でいろいろと変わってきますが、一般的には、この算出による肥満度が、18歳未満の小児では肥満度が20%以上、かつ優位に体脂肪率が増加した状態で、体脂肪率の基準は男児は25%以上、女児は11歳未満で30%以上、11歳以上は35%以上です。

そして、この肥満度の数値により、肥満度が20〜30%を経度肥満、30〜50%を中等度肥満、50%以上を高度肥満と呼んでいます。


*また、国際的に使われているBMIによる計算方法もあります。

・BMI=体重(Kg)÷身長(cm)の二乗です。

こどもの基準値は年齢によって変わってきます。

【小児肥満の治療】

小児肥満の治療は、食生活を含めたライフスタイルの改善にあるといっても過言ではありません。

食事や運動といったライフスタイルの改善を第一にすべきで、薬物療法や肥満手術は最後の手段です。子供では成長期にあるため、大人のように安易に体重の減量というわけにはいきませんので必要なエネルギーまでをも削って痩せさせようとすると、大事な成長に障害を起こす事が有りますので、ある程度の食事は勧めて頂いたほうが良いことがあります。

乳児期の肥満は、その後の肥満には直結いたしませんので、特に治療の必要はありませんが、3歳前後の肥満ではその後の肥満の頻度が高くなるために改善が必要になってきます小児の肥満の食事療法で大切なことは、本人はもちろんですが、家族を含めた食習慣の介入にあります。

まず第一には、規則正しい食生活の習慣をつけさせることです。朝食はできるだけ摂るようにすること。三度の食事以外に一日何回もおやつを与えないこと。食べる時は楽しく食べながらでも、ながら食いはしないこと。

次に食事内容も、摂取カロリーの多い、脂肪分の偏ったものやファーストフードなどの味の濃いものはなるべく避けること。

できればカロリーブックなども参考にして適度なカロリーのバランスの良い食事を心がけることですが、この時に気を付けなければならないことに、本人だけの食事療法ではなく、周りの家族も一緒に参加できる食事無いようにしてあげてください。

一人だけ別の食事では、本人の心や体の成長に良くありませんね。

そして一番大事なことは、良く体を動かすことになるでしょう。

運動療法という大げさなものではありませんが、できれば毎日コツコツと続けられる運動を、最初は少しずつでもよいのですが、できれば家族も一緒になって習慣づけてあげることです。例えば、散歩、水泳、運動クラブ、体操クラブなどもよいですね。

大事なのは、そのお子様の趣味や生活環境、興味などで長続きできるものにすることです。

発育期の中等度以下の肥満症では、厳しい食事制限はせずに、なるべく体重増加は抑えて身長発育を待って肥満度を減少させる心構えが良いでしょう。

摂取エネルギーは年齢相当の栄養所要量の9割くらいを目安にしてみるとよいですね。

なお、9割の小児肥満は特に病気がない肥満ですが、残りの一割は病気(ホルモンの病気、先天異常、腫瘍、薬物投与)による肥満がありますので、これらの区別を行うためには主治医の先生に診察をしていただいてから、肥満の治療を進めてゆくことが必要です。



 



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