小児気管支喘息のケア |
【長期管理薬で見えない気管の傷をケア】
ぜんそくは発作を繰り返すほど、治りにくくなる病気です。したがって発症後、早いうちにきちんとケアをすることがとても大事。治療でぜんそくをコントロールすることにより、ぜんそくがないお子さんと同様に日常生活を送ることは可能です。
ケアの基本はまず生活療法です。風邪が発作の引き金になりやすいので、手洗い、うがいを習慣づけること。またダニやホコリを寄せ付けない工夫も必要です。その際、私は優先順位をつけて掃除してはどうかとお話ししています。
乳幼児が1日で1番長く接するのは布団と枕。まずはこれらを掃除し、それができたらじゅうたん、というふうに考えるといいでしょう。お子さんのいる家庭では禁煙を。
これらに加え、長期管理薬を継続的に服用することも大事です。ぜんそくの人の気管は、やけどをした皮膚のように、症状がないときでも炎症を起こしている状態です。そのため冷たい空気やホコリなど小さいことでも刺激となり、再び発作を起こしていまうのです。長期管理薬はその状態を改善するものなので症状がなくても飲み続ける必要があります。
【生活の変化、服薬の負担、何でも医師に相談して】
入園や入学、進級など環境が変わりやすい季節は、発作を起こしやすい時期ともいえます。慣れない環境でのストレスや疲れ、それによる寝不足などが発作の引き金になるからです。また集団に入ると、どうしても風邪をもらいやすいもの。
幼児は集団生活に入ると、多い年では年に10回前後も風邪をひき、その多くが春と秋に集中しています。この時期に風邪からぜんそく発作を発症する子が多いのです。さらに、新しい環境に入るとお母さんんも気ぜわしくて薬をのませ損なうことも多いものですね。
環境が変わった場合は、それに即した生活の注意点やアドバイスもあります。また服薬が大変なら、1日に1回の服用で済む薬もあります。時間を選ばないので、食後や就寝前など、のませやすい時間に服用でき、お母さんの負担が軽減するはずです。
※遠慮せずに、お母さんから主治医に要望を話してみてもいいですね。小児ぜんそくの治療は、ご家族と主治医との二人三脚で進めるものです。気軽に何でも主治医に相談することをお勧めします。
【指示通りに服薬させたいが忘れるなどで難しい場合も】
気管支ぜんそくを患う1〜5歳の乳幼児のお母さん721人を対象に行った服薬状況の調査によると、ぜんそくと診断されてから気をつけるようになったこととして、「ダニやホコリの除去などの環境整備」に次いで「ぜんそく治療薬を医師の指示通りにのませる」が2位。
70%以上の人が、発作の原因の除去と指示通りの服薬を重視していると分かります。その一方で、服薬させることを「忘れることがある」という声も。入園、進級などをきっかけに、新たな生活リズムに合った服薬習慣を心掛けることが必要といえそうです。
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