小児気管支喘息について |
【増えている気管支喘息(小児喘息)】
小児気管支喘息は、いまから2000年ほど前より、すでに気管支喘息の症状は知られていました。このように気管支喘息は古くから知られている病気ですが、最近とくに注目されるようになりました。
アメリカでは5パセーント以上の子供が気管支喘息で、以前より一種の文明病であると言われていました。日本でも小児喘息は増えてきており、この20年間では3〜5倍に増えています。
最近では児全体の5〜8パーセントの子供がそうであると言われています。なぜ最近こんなに小児喘息が増えたのでしょうか。
理由はいくつか考えられています。
1.家屋構造・生活様式の変化
*密閉による高温・多湿の結果、ダニが増殖した。卵を多量に摂取するようになった。
2.食生活の変化
*洋風となり、卵を多量に摂取するようになった。特に離乳早期から卵を与える事が多くなった。
3.その他、大気汚染、精神環境の変化(ストレス)、親のアレルギー保有率の増加。
【気管支喘息の治療】
気管支喘息の治療においては、生活療法を基礎として行うのが大事です。その上で種々の薬(薬物療法)を用います。生活療法には大きく分けると、「環境整備」と「たんれん療法」の2つに分けられます。
1.環境整備
*アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を含めた危険因子(家ダニ、花粉、カゼ、タバコの煙等)を出来る限り除くことです。
2.たんれん療法
*喘息体操や腹式呼吸によって、呼吸筋をたんれんし、排痰(痰をだすこと)を行いやすくします。
*また、日常生活での薄着や運動に心がけ、乾布まさつや入浴時の水かぶり(冷水浴)を行い、過敏性を減少させます。
【小児気管支喘息で発作が起こったときどうするか】
「ゼイゼイ、ヒューヒュー」と突然起こる喘息発作、本人にとっても周りの人にとっても、本当につらいものです。
医者まかせでは喘息は克服できません。むしろ治療の主役は家族の人たちで、よき医者代わり、看護婦代わりにならないといけないでしょう。と、いうのは発作は殆どが家で起こり、その処置を最初にするのは家族だからです。
そこで家族の人が(やがては子供自身も)、発作が起きたときどうしたらよいか知っておく必要があります。発作が起きたときはまずできるだけ薬を使わないで治す方法をとるのが基本姿勢です。
1.とにかくあわてない
*家族の人がまわりであわてると、子供も不安となりうまくいきません。とにかく落ち着きましょう。
2.腹式呼吸をおこなう。
*子供を座らせて、なるべく家族の人が後ろについて、抱きかかえるようにして行いましょう。発作が無いときに練習していると、あわてずにうまく出来ます。
*はじめは続けて行うと本人は苦しいので、声をかけながら子供の呼吸に合わせて。3回の呼吸に1回くらいで行うとよいでしょう。
3.水分をとらす。
*発作の時は呼吸が早くなり、呼気から水分が失われます。また呼吸運動によっても熱も出ます。したがって水分を補う必要があるわけです。そこで腹式呼吸をさせながら、コップ1〜2杯の水を少しずつ頻回に飲ませてください。
4.痰を出させる。
*発作の時気道の狭くなる原因の1つには、痰がつまることです。子供の背中を軽く何回も叩いてあげてください。(タッピングといいます)水分を十分にとり。効果的に腹式呼吸を行うことも痰を出す方法です。
5.吸入をする。
*家に吸入器があれば、医者に指示された量と回数を守って、吸入薬で吸入させてあげてください。このときにタッピングを行うと良いでしょう。
6.薬を余分に飲ませる。
*気管を広げる薬(テオドールなど)を発作のとき余分に飲ませる場合もあります。どのように飲ませるかは、医者と相談しておくと良いでしょう。
*こうして呼吸が楽になって子供が遊べるようなら、また夜なら熟睡できるようなら、そのまま様子を見てもかまいません。
【病院にいくとき】
病院へ行くタイミングを間違うと大変です。頑張っても陥没呼吸がよくならないとき、ひどくなるときはそれ以上無理をせず、夜でも受診してください。
腹式呼吸が出来ない子供は、陥没呼吸をしだしたら限界です。また1度落ち着いても、またすぐに発作が増強するなら、無理は出来ません。このような時もすぐに受診してください。
【気管支喘息がコントロールされた状態とは】
*夜間の症状を含め、症状がほとんどない。
*喘息発作がほとんどない。
*発作のために救急外来を受診することがない。
*発作止めの薬をほとんど必要としない。
*運動を含め、活動に制限がない。
*肺機能がほぼ正常である。
*薬剤の副作用がない。
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