第22回日本外来小児科学会にて(その8):同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション |
今回で日本外来小児科学会でのお話は最後になります。最後にワクチンの同時接種を進めてゆくときに大事なことについて2、3点触れたいと思います。
単独接種や同時接種にかかわらず、ワクチンについて安全なワクチンの改良とワクチンに対する市民の皆さんの信頼と安心感がワクチンのリスク・コミュニケーションに必要ですが、アメリカでは全国的なネットワークで、ワクチンで防げる病気やワクチン副作用情報についてインターネットを使用して集積しています。その中の説明文章では、ワクチンで防げる各病気の説明や、ワクチンのリスクや副反応、そして何らかの理由でワクチンを接種できない人や有害事象(重い副反応)が起こった時の情報の問い合わせ先などがいつでも見られるようになっていて十分な情報開示がなされています。
また現在の日本で必要な市民・保護者の方への啓発と広報活動として、1)風疹が大流行しているため妊婦への情報提供が必要で、小児科医と産婦人科医・助産師との連携が重要。2)出生早期から始めなければならないワクチン接種への対策として、出生届と乳幼児医療費助成申請時に、ワクチンのパンフレットを同時に配布する。3)同じく出生早期の広報活動のために保健師の戸別訪問や、参加・小児科での1か月健診を利用して早期のワクチン接種を推奨する。4)学校でのワクチン教育を進めて学童・生徒にワクチンで防げる病気について知ってもらう。を挙げていました。
最後にまとめとして
・適切な時期に適切なワクチン接種をするためには、同時接種は必要な医療行為であること。
・同時接種に対する不安は、真の健康被害を基にしたものではないが、真摯に受け止めることが大切。
・ワクチンのリスク(副作用・危険度)とベネフィット(利益)を正しく比較してもらうために、医療従事者の役割は大きい。 と話されていました。
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