「地域医療と予防接種~ワクチンがもたらす恩恵~」のセミナーに出席して:その2 |
2月4日(土)のセミナーの後半のパネルディスカッション「当地域における予防接種の実際」では、前出の渡辺先生の他に、北海道保健福祉部健康安全局参事の山口先生の講演もありました。
山口先生のお話「ワクチン接種促進事業の取り組みについて」では、現在推奨されているワクチンの回数は、昔に比べてかなり多くなっており、
定期接種(マシン風疹ワクチンや、三種混合ワクチン、ポリオワクチン、BCGなど)と,
任意接種(ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、水ぼうそうワクチン、おたふくかぜワクチンなど)の両方を合わせると、小学校入学前に行う予防接種はなんと40回も!接種しなければならないということです。
これでは、1回1回を単独のワクチンで行うにはかなりスケジュール的に無理があり、やはり適切にワクチン接種を進めるには、同時接種を行う必要があるとのことです。
また、近い将来で気をつけなければならないワクチン接種の事情として、
1) 麻疹・風疹ワクチンの3期と4期(中学生と高校生で接種します)の接種で、公費負担で無料になる時期が平成23年度分は3月末までです。そして1月現在中学1年生と高校3生の、このワクチンの接種率はあと2か月しかないにもかかわらず、北海道全体ではまだ60%前後であることを危惧していました。
つまり、まだ接種していないために、今後このワクチンを接種する場合には有料になってしまう中学1年生と高校3年生の生徒が約3人に1人以上残っているということでした。そのため、早急にこの事情を広く知らせるために、全道のセブン・イレブンにお願いして、店頭に「早くワクチンを受けましょう!」というポスターを貼ってもらうようにしたとの事です。
2) ポリオワクチンに関しては、現在不活化ワクチン(注射のワクチン)の開始が望まれていますが、来年の秋くらいにはこの不活化ポリオワクチンの接種が開始される予定だそうです。
この時には、既に三種混合ワクチンの接種が済んでいるお子さん用にポリオ単独のワクチンと、三種混合ワクチンを接種していないお子さん用に四価(三種混合とポリオを合わせた四種類の混合ワクチン)ワクチンが接種できるようです。
しかしながら既にこのワクチンを接種するまで現在の生ワクチン(飲むワクチン)の接種を控えようとする傾向があり、
昨年はポリオワクチンの接種率が前年度に比べて20%近く下がっているために、もし外国からポリオという病気が入ってきたら、大きな流行を起こす危険性が出てきているとのことです。
3)国の予算の関係で、現在は今年の3月まで無料になっている、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンが来年度も無料で接種できるように、一年間の無料化の延長が決まったそうですので、現在接種する人がやや少なくなってきて、対象者の75%ほどしか接種していない子宮頸がんワクチンの接種も、今後接種する人が増加することが期待できるというお話でした。
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