第22回日本外来小児科学会にて(その7):同時接種とワクチン・リスク・コミュ二ケーション |
今までにブログで触れさせていただいたのは、ワクチン・リスク・コミュニケーションという演題の中でのお話でしたが、このワクチン・リスク・コミュニケーションとは何かといいますと、
被接種者(お子さん)、保護者、医療従事者、行政、マスコミ、専門家などが、ワクチンの利点と副作用などのリスクについて、またワクチンで防げる病気のリスクについて、お互いに正確な情報を認識し合うということですね。
どんな予防接種も全く安全な予防接種は有りません。
きわめてまれに重い副作用が生ずることがありえます。
そのため健康被害の正確なモニタリングや副反応のより少ないワクチンの開発が求められます。
しかしながらワクチンの副作用に対する過度な報道(例えば昨年の同時接種後の死亡例の報道など)がありますと、その死亡がワクチンの原因ではない死亡(他の病気や乳幼児の突然死など)であっても、ワクチンに対する不適当な恐怖が市民のあいだに広がり、その結果ワクチンの接種を避ける状態が続きますと、
今度はワクチンで防げる病気が蔓延し、その病気による死亡が増えてしまうという状況が起こります。
1999年に行われたアメリカでの全国調査でも、ワクチンは病気の予防に極めて重要であると答えた方は87%にのぼりますので、ワクチンの利点や有用な情報を副作用のリスクなどとともに正確に保護者の方に伝え、自信を持ってワクチンの接種を勧めることが大切だとお話されていました。
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