前回に引き続いてワクチンで防げる病気(VPD :水ぼうそう、おたふくかぜ、ロタウイルス胃腸炎、細菌性髄膜炎、肺炎など)についてのお話です。 |
1) 水ぼうそう(水痘)は、一つの集団生活(例えば保育所や幼稚園など)で発症すると、それまで水ぼうそうにかかっていない人やワクチンを受けていない人(いわゆる免疫がない人)では80~100%の人がかかってしまうくらい伝染性の強い病気です。そこで水ぼうそうのワクチンを接種していたらどうなっていたかといいますと、水ぼうそうのワクチンを1回でも接種していると半分以上の方に予防効果があったそうです。また残念ながら発症しても多くの方が軽く済んでいます。これによりますと、伝染性の強い水ぼうそうはワクチンで防ぐのが良く、しかも1回接種では効果が限定的なので、出来れば2回接種をすることがおすすめのようです。しかもワクチンの接種時期は集団生活に入ればいつでもうつりますので、1歳を過ぎた早い時期に接種することが望ましいでしょう。
2)
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎 :ムンプス)は、年齢が上になるほどおたふくかぜの症状が強くなります。また髄膜炎や睾丸炎、卵巣炎などの合併症の発生率も高くなります。そのためおたふくかぜワクチンの接種も、みずぼうそうワクチンの接種と同じように、集団生活に入るまでと待たないで、1歳を過ぎたら早い時期に接種しましょう。
3)
ロタウイルス胃腸炎は、3歳までにほとんどのお子さんが一回はかかり、5歳までのお子さんでは40人に1人は入院する病気です。また、脳炎という重い脳の病気の原因では3番目に多い病気でもあります。
昨年より日本でもロタウイルスに対するワクチンが発売されるようになりましたが、数年前にこのワクチンを導入してお子さん全員に接種している国では、ロタウイルス胃腸炎で入院するお子さんがほとんどいなくなり、ロタウイルス胃腸炎の流行自体もなくなりつつあるようです。
4)ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチン(プレベナー)は、日本で発売されてから数年が経ちましたが、最初の頃は自費のため接種率も低く、その結果髄膜炎や肺炎の発生率も目立っては現象が見られませんでしたが、昨年は公費負担による無料化のため接種率が飛躍的に良くなりました。そして昨年から今年にかけては全国で髄膜炎が半分以下に減少し、乳幼児の死亡例も減少しました。また、これらのワクチンの接種率を高く保つことにより、ワクチンを受けていない他のお子さんにも集団伝染予防効果によりこれらの菌の保有率が下がっているようです。今後はお子さんの菌の保有率が下がると、周囲の人への伝染も少なくなり、成人や老人の方のこれらの病気の発症率も下がってくることが期待できます。
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