日本小児アレルギー学会の2日目の教育講演8では、
食物アレルギー:診断と治療ガイドラインと題して、福岡国立病院の先生が講演をされました。
食物アレルギーは近年増加していること、アメリカではガイドラインの作成と医師や医療従事者のみならず保健指導関係者も食物アレルギーの標準的な評価や指導が行えることを説明され、我が国の現状として
1)食物アレルギーの確実な診断法は
経口負荷試験という検査で診断することで、ガイドラインが作成され、全国でこの検査が行える医療機関が増えていること。
2)
食物アナフィラキシー(食物アレルギーの重い症状)の対応は、予防と発症時の治療が基本で、食物の誤食(誤って食べてしまうこと)の予防、適切な症状の治療(携帯できてどこでも使えるエピペンという治療薬がありますが、この使用のタイミング)など・・早ければ早いほど効果があること
3)最近の治療としてトピックスなのは
、経口減感作療法(経口免疫療法)といわれるもので、いわゆる
アレルギーの食品をたくさん食べさせて治すという、今までの食べさせない治療法とは違う画期的なものです。
ただし、現時点ではいくつかの問題点があり、どの患者さんに、どの食品を、どのくらいの量で始め、どのくらいまで増量し、治療後の食事はどうするのか、などの点でまだ一般的な治療にはなっていませんが、これからの治療として期待されるものです。
4)
食物アレルギーの発症予防と離乳期のアレルギーの原因になる食物の開始時期をどうするかという点では、妊娠時期や出産後の授乳期のお母さんの食事制限は行わないのが普通で、さらにお子さん自身は早めに離乳食を開始するほうが湿疹の頻度が少なくなり、皮膚から食物のアレルギーの物質が入る可能性から、顔のスキンケアの重要性が話されていました。