
日本小児アレルギー学会第2日目の午後は、シンポジウム9
「小児アレルギー医に必要な境界領域の知識 診療科を超えて小児アレルギー疾患を考えるー治療のステップアップを目指してー」を聴いて来ました。
1番目の演題は、国立相模原病院の先生による、
「成人における食物アレルギーの実態」という話でした。
20歳以上の方の即時型(食べてから短い間に症状が出てくる)食物アレルギーの原因物質は、甲殻類(エビやカニなど)が18%、小麦が15%、果物類が13%、魚類が11%であり、
鶏卵や牛乳が多い小児とは原因となる食物がかなり違うとのことでした。
特に、成人では食べるもの以外による(例えば
花粉など)腸管外感作ルートでの食物アレルギー(pollen-food-allergy-syndrome)が代表的なもので、花粉症の発症年齢が低年齢化しているため、小児科でも今後気をつけなければならないということです。状況によっては、食べたことがない食物でもアレルギーが起こる可能性があり、例えばリンゴの口腔アレルギーの人が、初めて食べたびわや豆乳でもアレルギーが起こり得ることに注意する必要があるとのことでした。
また、女性では化粧品の中に入っている食物からの蛋白が、顔に化粧品を使用することによって顔からの皮膚経由の感作で食物アレルギーが起こることも多く、最近話題になりました「茶のしずく」による小麦の食物アレルギーが多発していると問題視していました。
このような病態は、成人において特徴的ですが、小児に生じても全く不思議ではなく、稀な食物アレルギーを引き起こす場合は、このような原因も考えなければならないようです。
そのほか、アニサキスアレルギー、納豆アレルギーなどの話題も出てきて、小児とは違う成人での食物アレルギーの特徴が勉強になったシンポジウムでした。
他には、このシンポジウムでは、小児から成人の気管支喘息の話題や、アトピー性皮膚炎などの話題もありましたので、次回に触れたいと思います。