旭川市小児科 医療法人社団 土田こどもクリニック


地域の小児医療はどのようにして、守られたか?「地域医療再生へのアクション」


2月11日(土)に札幌で開催されました、セミナーに参加してきました。

メインテーマは、「地域医療再生へのアクション」でした。

一人目の講師は、新聞やテレビの報道でも全国的に有名になられた、兵庫県立柏原病院小児科の和久先生です。

兵庫県にある丹波市の柏原病院というだけではご存じない方も多いかもしれませんが、平成20年に地域の小児医療が、時間外の救急外来受診の増加や医師不足のため、地域の小児科の医師がいなくなる医療崩壊の危機感から、住民のお母さん方が小児医療の存続を訴えて署名活動され、なんと住民の8割近くの署名を集めて県庁に要望した出来事です。

「丹波の小児医療再生物語」として話題になり、当時の舛添厚労省大臣も関心を示し、全国紙の新聞や「女性自身」などの雑誌や週刊誌、子育ての書籍や単行本などでも取り上げられ、ドキュメンタリードラマになって全国で放映されました。

一部「コンビ二受診」と称される時間外の救急患者さんの増加や医師派遣の医局システムの崩壊による医師不足などで、柏原病院や近隣の小児医療が次々と崩壊し、残された少数の小児科医が日々の診療と小児救急医療に頑張るも次々と疲弊し、講演していただいた和久先生もその絶望感から一時病院を辞める事を決意されたそうでした。

しかしながらその時に地元の「丹波新聞」の足立記者が「柏原病院パンク寸前」と題して丹波の小児地域医療の崩壊を報道し、記者の呼びかけによるお母さん方と小児科医師との座談会が開催されました。

これにより小児科医などの医療者と地域住民とのギャップを埋めるため、マスコミなどの報道者が第3者として介入し、小児科医師の過酷な勤務実態を住民の方に知ってもらうことに成功し、お母さん方の「小児科を守る会」の署名活動から、"丹波の母親達を本気にさせ、お母さん達が地域医療の主語になった。"そうです。

このお母さん方は、今でも全国各地での講演会や「ママのおしゃべり救急箱」という同世代のママ向けの勉強会を開催しているとうことです。

産科で扱うお産という「医療の不確実性」(お産は決して安全なものばかりではない)の実態を知らせ、住民(患者)と医療者との両者の希望の総和という解決点を見出してゆこうとする姿に、地域医療の再生という姿を見ました。

今回はこの両者の間に第3者として有効に介入した大きな因子として、丹波新聞の記者の行動も非常に重要だと思われました。

二人目の講師は、札幌市清田区の整形外科病院部長の相木先生でした。

相木先生は女性医師の立場から「女性医師の仕事と子育て」と題して、現在置かれている女性医師の一般的な立場や考え方、ご自分自身の経験談などを織り交ぜて、講演していただきました。

ちょうど今日2月13日の月曜日で今年の医師国家試験が終了しましたが、昨年の医師国家試験の合格者の3分の1は女性の方です。

この傾向はこれからも続き、医師の3人に1人以上は自分の出産そして自分たちの子育てに関わらなければならないことになります。

医師の世界でも仕事と出産・育児の両立は一般社会と同じように難しいものがありますので、当然休職・離職の可能性も出てきますが、それを回避するために、女性医師の支援について医局のバックアップや女性医師再教育センターの活用など色々と話して頂きました。

ご自身の体験談として、・何故、仕事に復帰したのか? ・仕事のスタンス、 ・仕事復帰して感じたこと、 ・いろんな仕事のスタイルがある、 ・どうしたら無理せず仕事を続けられるか、 ・高齢出産について、などの点について色々と述べられていました。

会場には医学生の方も来られていましたが、特に女子医学生の姿が多く見られ、その女子医学生から女性医師への支援体制について、また卒業して診療科を選ぶときの参考点などの質問がありました。

それに対してのお答えは、「迷った時はこれだけはゆずれないこと、まず一番やりたいことをすることに決めたら良いと思います。」と述べられ、先輩方の参考意見として、「私が仕事を続けてこられたのは、家族の協力のお陰ではありますが、最大の理由はOO科医(自分の診療科)の仕事が面白くて、やりがいを感じていたからに他なりません。」ということを述べられ、このことは女性・男性にかかわらず非常に重要なことですので、強く共感しました。




 



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