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ロタウイルスワクチン Archive

ロタウイルス胃腸炎のワクチンのシンポジウムにて(2)

前回に引き続いて、ロタウイルス胃腸炎予防のワクチンについてのシンポジウムのお話です。

このワクチンの一つは既に昨年の秋に発売されています(商品名:ロタリックス)。このワクチンにつきましては、既にこのブログでも去年に何回かお話していますが、生後6週(生後1か月半)以後からワクチンを接種することが出来ますので、日本で接種できるワクチンの中では一番早く接種できるワクチンです。1回の接種では不完全ですので、4週間の間隔をあけて合計2回接種します。

今年の夏か秋ころにはこのワクチンとは別のもう一つのワクチンが発売される予定です(商品名:ロタテック)。こちらのワクチンも生後6週以後より接種が開始できますが、接種回数は3になっています。


どちらのワクチンも効果はほぼ同じのようです。新しく発売されるワクチンにつきましても、重症の胃腸炎に対する予防効果は、1回目の接種で75%、2回目の接種で79%、3回目の接種では100%近いお子さんに予防効果が認められました。

さらにこのワクチンが広く接種開始されたことにより、思わぬ効果が認められたそうです。その効果というのは、実際にワクチンを接種するのは6か月未満の小さなお子さんですが、そのお子さんがワクチンでロタウイルスに対する免疫がつくと、ほかの年齢層(2~6才の年長児や6~12才の学童など)においても、ロタウイルス胃腸炎の流行がかなり少なくなったそうです。

乳幼児以外でも「ワクチンによる集団免疫効果」が認められたということですね。

もうすでにこのワクチンを幅広く接種しているアメリカなどでは、全年齢層でのロタウイルス胃腸炎の流行が減少しているという報告がありますので、そのうちロタ胃腸炎の流行も昔話になるかもしれませんね。



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ロタウイルス胃腸炎とロタウイルスワクチン

週の水曜日(1月25日)に、旭川でロタウイルス胃腸炎とそれに対するワクチンの講演会がありました。講演していただいた先生は、札幌医科大学小児科学教授の 堤先生です。


前半はロタウイルスによる胃腸炎のお話です。

ロタウイルスによる胃腸炎は、脱水症状などで重症化しやすく、札幌の乳児院では入院する胃腸炎の40%以上がロタウイルスによる胃腸炎だそうです

(ちなみにノロウイルスによる胃腸炎は12%と、ロタウイルスの3分の1以下だそうです)。

世界中では年間に約240万人のお子さんが入院し、治療のかいなく60万人以上のお子さんが亡くなる病気で、ロタウイルスによる胃腸炎は下痢と脱水・発熱でウイルス性胃腸炎の中でも重症感が強い胃腸炎です。


ロタウイルスが体内に入り込むことにより、小腸と呼ばれるところの細胞が壊され、消化物の中の水分を体内に吸収する力が弱まるために、ひどい水下痢になります。

また下痢や脱水だけではなく、脳症と呼ばれる重症の脳の病気も合併することもあり、お子さんの脳症の原因ではインフルエンザなどに次いで3番目に多い病気でもあります。

治療は、とにかく脱水を防ぐために、どんどん電解質と呼ばれるものが入っている水分を、口からや点滴などでお子さんの体内に入れることにつきます。あまり水分が取れない場合は、やむを得ず入院して数日間点滴をして治すこともあります。



後半は、昨年の秋に発売された、ロタウイルス対するワクチン(商品名:ロタリックス)についてのお話です。

ロタウイルスによる胃腸炎は、メキシコの統計では、2歳までに96%のお子さんがかかりますが、その70%は無症状で、2度かかるお子さんは70%くらい、3度かかるお子さんは40%位もいるそうですが、回数を重ねるたびにだんだんと症状が軽くなってゆくことが分かりました。

そのため、実際にロタウイルス胃腸炎にかかる前に、ワクチンで免疫をつけておくと、実際にかかった時には軽くすみ、入院するお子さんの割合が9割以上もなくなります。

このワクチンは、生後6週から24週までの間に飲むワクチンです。

ただしこのワクチンを飲むと、その後4週間はほかのワクチンを受けることが出来ないので、ワクチンの接種スケジュールを組むのが大変ですが、組み合わせ次第で、ほかのワクチン(三種混合ワクチンやヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン)と一緒に同時接種ができますので、どのようなスケジュールを組むのが良いか、いろいろと小児科で相談されてみると良いでしょう。

このワクチンは、まだ公費助成がありませんので、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンと違って、有料になります。


このワクチンも小さなお子さんにとっては大切なワクチンですので、早く都道府県や市町村の方針で、ワクチンの無料化がされると良いですね。



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