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講演会 Archive
アレルギー、ワクチンのシンポジウムにて(3:子どものワクチンの up to date )
先月の東京でのシンポジウムの3番目のお話は、国立病院機構福岡病院部長の岡田先生による、ワクチンの最近の話題についてです。
この中で先生は、ワクチンの副反応の中でも最近の子宮頸がんワクチンの接種後に問題になりました失神について、多くのデーターを基に説明されていました。
子宮頸がんワクチン接種後に、その痛みなどで接種後短時間に気持ちが悪くなって倒れこんだり、意識を失うお子さんが新聞などで報道されていましたが、
実はこの症状は子宮頸がんワクチンが開始される前にもいくつか報告されている副反応だったとのことです。
子宮頸がんワクチンは他のワクチンと接種の仕方がやや違い、
最初から筋肉注射で接種するようになっていましたので、他の皮下注射のワクチンよりも接種時の注射の痛みが強くなることが多いものです。
そのためその痛みの反射により血圧が下がり倒れこんだりすることがあります。
しかしながらこの副反応は海外での調査でも同様に起こっており、その頻度もほぼ日本と同じであることから、特別わが国だけの問題ではないようです。
接種前にはあまり緊張させずに(友達の話などで非常に痛いワクチンだとの先入観で接種しようとするケースも多いようですが・・・)、
接種時にも緊張を解きほぐすような会話をしたり、
接種後すぐには立ち上がったり急いで動くなどの動作を控えるようにしてあげてください。
また、最近ではワクチンの種類も多くなり、複数回接種するワクチンがほとんどのため、最近の日本のお子さんのワクチンの接種回数は飛躍的に多くなってきました。
そのため問題になるワクチンの副反応としてあげられる中に、アナフィラキシーと言うものがあります。
このアナフィラキシーというのは複数の臓器の症状が起こることを指しています(例えば接種直後の蕁麻疹と呼吸困難とか、失神と蕁麻疹とかなどです)。
このアナフィラキシーの報告は、新型インフルエンザワクチンの接種などで多く報告されていますが、他のどのワクチンでも起こりえます。
そのため、ワクチン接種後は20分前後は何か変わったことが起きていないかどうかを観察し、症状が起こった際にはすぐに診察と処置ができるように、接種場所の近くで待機されることが必要ですね。
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第22回日本外来小児科学会にて(その7):同時接種とワクチン・リスク・コミュ二ケーション
今までにブログで触れさせていただいたのは、ワクチン・リスク・コミュニケーションという演題の中でのお話でしたが、このワクチン・リスク・コミュニケーションとは何かといいますと、
被接種者(お子さん)、保護者、医療従事者、行政、マスコミ、専門家などが、ワクチンの利点と副作用などのリスクについて、またワクチンで防げる病気のリスクについて、お互いに正確な情報を認識し合うということですね。
どんな予防接種も全く安全な予防接種は有りません。
きわめてまれに重い副作用が生ずることがありえます。
そのため健康被害の正確なモニタリングや副反応のより少ないワクチンの開発が求められます。
しかしながらワクチンの副作用に対する過度な報道(例えば昨年の同時接種後の死亡例の報道など)がありますと、その死亡がワクチンの原因ではない死亡(他の病気や乳幼児の突然死など)であっても、ワクチンに対する不適当な恐怖が市民のあいだに広がり、その結果ワクチンの接種を避ける状態が続きますと、
今度はワクチンで防げる病気が蔓延し、その病気による死亡が増えてしまうという状況が起こります。
1999年に行われたアメリカでの全国調査でも、ワクチンは病気の予防に極めて重要であると答えた方は87%にのぼりますので、ワクチンの利点や有用な情報を副作用のリスクなどとともに正確に保護者の方に伝え、自信を持ってワクチンの接種を勧めることが大切だとお話されていました。
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第22回日本外来小児科学会にて(その5):同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション
学会の2日目のセミナーでは、鹿児島大学の西順一郎先生による、「ワクチンの同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション」の講演でした。
最初に日本小児科学会推奨の予防接種スケジュールを表で示され、早いものでは生後6週目からのロタワクチンから開始するスケジュールと、
生後8週目からの同時接種(ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタワクチン)を前提とした最速のワクチンスケジュールも示して頂きました。
ただしどちらもBCGの集団接種ではスケジュールの調整が困難なため、BCGの個別接種への移行が必要であると話されていました。
旭川市でも来年度からBCGの集団接種から個別接種へと移行する予定ですので、今後は旭川の乳幼児のお子様も同時接種を前提としたワクチンの接種スケジュールが立てやすくなります。
またワクチンの単独接種では、必要なワクチンを全部接種するためには生後6か月までに合わせて全部で15~16回の接種のための受診が必要ですので、かなり大変なことになります。
インフルエンザ菌や肺炎球菌による髄膜炎という重い病気は生後6か月にはもう発病しているお子様も出てくるために、かかる前に接種するワクチンの原則からすると、やはりどうしても同時接種が必要だということになりますね。
日本小児科学会でも、「予防接種の同時接種に対する考え方」において、
- ワクチンは適切な時期に適切な回数を接種することが重要で、
- 有効性については各々のワクチンでのお互いに影響する作用は無く、
- ワクチンの同時接種により重い後遺症や副反応の頻度は多くならず、
- ワクチンの同時接種は日本の子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るために必要な医療行為である。
と示されています。
次回は、このセミナーでのお話の中で、「海外における同時接種」と「日本の同時接種に対する不安」というお話をいたします。
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「ワクチンフォーラム2012」にて:ワクチンの同時接種の安全性、不活化ポリオワクチン、4価ワクチン、インフルエンザワクチンについて(その2)
9月5日のワクチンフォーラムでの崎山先生のお話の続きです。
今回は不活化ワクチン、4価ワクチン、そしてインフルエンザワクチンについてです。
今月の1日から全国で不活化ポリオワクチンの接種が開始されています。
今までのポリオ生ワクチンと違い、ワクチンによる麻痺がない安全性の高い注射するワクチンです。
もう既に接種された方も多いかと思いますが、今回の不活化ポリオワクチンはフランスから輸入されたワクチンですが、国内での治験後に使用されることになり、各地で多くのお子さんに接種されています。
未発表のデーターですが、今年の春の主要都市におけるポリオ生ワクチンの接種率は60%台に下がっていましたので、かなりたくさんのお子様がポリオに対しての免疫がない状態です。
ポリオの接種が済んでいないお子さんは早めに不活化ポリオワクチンを接種してくださいね。
そして、11月からは新しいワクチンが開始されます。
今までの三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)と不活化ポリオワクチンが合わさったワクチンで、計4種類のワクチンが入っている混合ワクチンのため4価ワクチンと呼ばれます。
このワクチンは現在のところ2社から発売される予定(クアトロバック、テトラバックという商品名です)で、どちらのワクチンも使用できます。
最後のインフルエンザワクチンについてのお話では、インフルエンザワクチンの有効性についてでした。
よくインフルエンザワクチンは効かないと言われているようですが、
崎山先生のお話ではその評価の仕方が誤っているものが多く、正確に評価した研究を集めると実際にはワクチンの効果は60~70%程度はあるとのことです。
但し2歳以下でのインフルエンザワクチンの効果は少ないとのことで、この年齢層でのインフルエンザワクチンの接種に関しては、色々と相談の上でということになるかもしれません。
しかしどのワクチンでもそうですが、インフルエンザワクチンにも集団免疫効果というものが有り、
その集団(学校なり幼稚園や保育所、その地域など)でのワクチンの接種率がなり高いと、ワクチンを接種していない人にも病気にかかる率少なくなるという効果を及ぼしますので、はやりワクチン接種は大事だということになりますね。
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小児呼吸器疾患シンポジウムに参加して:3)青春小説!「もし、ドラ」をご存知ですか?
8月上旬の東京で開催されたシンポジウムでの特別講演で、ベストセラーにもなりました小説、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(敏腕マネージャーと野球部の仲間たちがドラッカーを読んで甲子園を目指す青春小説!)という本の著者の、岩崎夏海先生の講演を聞いてきました。
ちょうど時期的に夏の甲子園の予選、そしてこの時期は甲子園の本体会の時期ですが、高校野球の話ではありませんでした。
高校の野球部の生徒(マネージャー)がドラッカーという有名な経済学者の著書を読むという、一見なんのつながりもないような話なのですが、岩崎先生によるとそこが一番大事なところということでした。
"わかりきった答えが正しいことはほとんどない!"
"顧客(お客様、もしくはサービスを提供する相手、(または野球部の相手?))は誰なのか?顧客を明確にすることが大事!"
"多くの人たちが、サービスをする相手、もしくは目標とする対象となる顧客というものについて、誤った考え方を抱いている!"
そして、具体例として、経済不況下のGM社(アメリカの自動車会社)の立て直しや、カリフォルニアのガールスカウトの人種問題についての対応の例を挙げていました。
どちらも大多数の人が賛成する案の反対のことを行なって問題を解決させていったそうです。
小児科にとっての最終の目標とする集団は、お子さんから保護者、そしてそれを取り巻く周囲の社会全体でしょうか・・・・
最後に岩崎先生は、これからは権威に依存する時代ではなく、市民一人ひとりが周囲の人や社会に何が貢献できるか、何に責任を持つかを考えて行動するマネージメントの力が必要だと話されていました。(ドラッカーの著書に、「非営利組織の時代」という本があるそうで、参考に紹介されていましたね。社会の貢献度こそが大事で、それが通常の権威を超えるような時代になって来るだろうとのことです。)
仕事や職種は違いますが、大変参考になったお話でした(^O^)
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小児呼吸器疾患シンポジウムに参加して:2)子どもさんの長引く咳について
シンポジウムの2番目の演題は、東海大学医学部小児科の教授の望月博之先生のお話でした。内容は、子どもさんの長引く咳についてです。
長引く咳は俗に"慢性咳嗽"とも呼ばれ、しつこい咳のために病院を受診される方が時々見られますが、この際に気をつけなければならないことと、考えられる病気についてのお話でした。
小児でも大人と同じように、慢性咳嗽についてのガイドラインがありますが、診察の際に特に注意しなければならないのは、どのような咳が(湿った咳か、乾いた咳か)、一日の中でどの時間帯に、いつくらいの期間が持続するのかという事を丹念に調べることです。
そして実際の診察の時には、胸の音を詳しく聴き、ぜーぜーなどの喘鳴が入らないかどうかの確認も必要になってきます。
頻度の多い病気としては、風邪、喘息、蓄膿症、胃食道逆流症、心因性、タバコなどですが、これらの病気の咳を見分けるために、"湘南カフカ"という、咳のときの周波数を検出する検査機器を開発されて、実際の病気のお子さんでどのように違うかを示されていました、それによりますと、心因性や喘息、風邪の咳などの見分けがある程度できるようです。
それにより的確な治療法の選択ができますね。
たかが咳ですが、長引く咳や夜間の咳は、周囲の家族の方も辛いので、このような新しい知見が多く出てきて、早く実際の診療の場面で役立てることができるようになると良いですね。
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気管支喘息とアレルギー性鼻炎との関連
先週の土曜日に、旭川で道北小児アレルギー研究会が開催され、気管支喘息とアレルギー性鼻炎との関連について発表させていただきました。
もともと気管支喘息とアレルギー性鼻炎は同じくアレルギーによって起こる病気です。
そのため、お互いに合併しやすく、小児喘息の半分以上の方が合併しています。
そこで今回、アレルギー性鼻炎と小児気管支喘息がどのくらい合併しているか、またお互いに調子が悪いとどのように影響しているかを、当クリニックと、道北、オホーツク圏の4つの病院で共同に調査してみました(SACRAスタデイという調査でした)。
保護者の方からのアンケートの結果ですが、両方を合併しているお子さんは半分以上あり、やはりアレルギー性鼻炎が合併しているお子さんは喘息の状態もあまり調子が良くなく、しかもアレルギー性鼻炎の症状が重い方ほど、喘息の状態も悪い傾向にありました。
このことから、小児の気管支喘息を診てゆく場合には、アレルギー性鼻炎の合併にも注意しながら、両方の病気の状態を良い状態に保つようにしてゆくことが大切ですね。
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アトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎の講演会にて
6月30日の講演会の2番目の話題は、「アトピー性皮膚炎の新しい話題と皮膚のライブイメージング」という題で、京都大学皮膚科の准教授のお話でした。
アトピー性皮膚炎の発症する機序について、1)皮膚バリアの機能異常であること、2)患者の方に免疫的・アレルギー学的な異常があること、3)かゆみの異常が強いこと、の3つの大きな要素について話していただきました。
皮膚バリアの機能異常と免疫学的な異常については、最近の研究では「フィラグリン遺伝子の異常」が大きく取り上げられているようでした。
この遺伝子の異常が一部の方に認められ、この異常により患者さんの皮膚のバリア機能に異常をきたし、カサカサの肌になり、皮膚の保水性(水分やうるおいを保つ能力)が落ちて、その結果かゆみも強くなってきて、湿疹の変化が起こり、アトピー性皮膚炎の状態になってくるということのようです。
この遺伝子の異常はアトピー性皮膚炎のみならず、気管支喘息や食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などの発症にも関与するそうです。
また皮膚のかゆみが強く、その結果何回も何回も掻き壊してしまうと、皮膚の細胞からアトピー性皮膚炎になりやすい物質(TSLP、TARC/CCL17などと呼ばれているものです)が多く産生され、さらにそれがアトピー性皮膚炎を悪化させるということも分かってきたようです。
まとめますと、アトピー性皮膚炎は皮膚のバリアの機能異常によって起こる病気で、それがかゆみなどの症状で皮膚を強く掻き壊して、さらに皮膚のバリアの機能異常を増悪させる悪循環が、なかなかアトピー性皮膚炎が治らない要因といえそうです。
アトピー性皮膚炎を治すには、皮膚のケアとかゆみのケアがまず第一と言えるでしょう。
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小惑星探査機「はやぶさ」の講演会を聴きに行きませんか?
- 2012年6月 7日 15:40
- 講演会
皆さんは、小惑星探査機「はやぶさ」をご存知でしょうか?(*^_^*)
そう、あの映画にまでなった(「はやぶさ HAYABUSA」、「はやぶさ 遥かなる帰還」、「おかえり、はやぶさ」の3作が上映されましたね。)あの「はやぶさ」です。
今週の土曜日(6月9日)の午後1時半より、ホテル札幌文芸館(旧札幌厚生年金会館)において、「はやぶさ」を作り上げたJAXA宇宙航空研究機構の川口淳一郎教授が、「宇宙から未来の子どもたちへー小惑星探査機"はやぶさ"からの贈り物―」と題して、道民公開講座が開かれます。参加費は無料です(^o^)
この公開講座は、「日本小児科医会」という全国の小児科の医師の団体による年一回の総会が札幌で開催されるのに合わせて、今回一般の方にも是非聴いていただこうと企画されました。
会長(北海道小児科医会会長:冨樫武弘先生)も、「これからの未来ある、小学生をはじめとして、中学生、高校生、大学生、そしてそのご家族の方にも、色々な感動や未来への夢や希望を与えられるような講演ですので、是非多くの方に(特に子どもや若い人達に)聞いてもらいたいのです。」と熱く語られていました。
札幌は、ちょうど「よさこいソーラン」で賑わっている頃ですが、あ祭りと共に、皆さんでご家族も一緒に、未来へのお話を聞きに行ってみてください(^^♪
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