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1才を過ぎたら早めに生ワクチン(麻しん風しん(MR)ワクチン、水ぼうそうワクチン、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンを!

 

前回のブログでは、ワクチンの接種率の低下が心配されている麻しん風しん(MR)ワクチンについてお話しいたしましたが、1歳過ぎのこの年齢から接種できるワクチンには、水ぼうそうワクチンとおたふくかぜワクチンが有ります。この両方のワクチンはMRワクチンと違って任意接種なので有料のワクチンになります(MRワクチンは定期接種のため、公費負担で無料になります(自己負担が有りません))。

でもこの両方のワクチンは有料ですが、保育園や幼稚園に通園されているお子様には必要なワクチンです。園などで集団生活をしているときには様々な感染症が流行りますが、一度感染して発病してしまうと5~10日間くらいは登園が停止になる病気です。そのため集団の生活に入る前、もしくは1才を過ぎたらこの2つのワクチンもMRワクチンと同様にすぐに接種しましょう。このワクチンも他のワクチンと同じように複数のワクチンの同時接種が出来ますので、ワクチンスケジュールを立てて、早目に接種してくださいね。

水ぼうそう、おたふくかぜのワクチンは2回接種へ

前回に引き続いて、今回も予防接種についてのお話です。
今回は水ぼうそうワクチンとおたふくかぜワクチンの2回接種についてです。

 「えっ! 水ぼうそうワクチンやおたふくワクチンは2回も接種しなければならないの!」と思われる方も多いのではないでしょうか? 

でもよく考えてください、以前にお話ししました最近流行っている風しんについて、風疹ワクチンは麻疹ワクチンと一緒のMRワクチンとして、1歳のころと小学校入学前の2回も接種していますよね。

その理由は風疹も麻疹(はしか)も1回のワクチン接種では免疫が出来なかったり、一度免疫が出来てもその後に免疫が減ってしまい、風疹やはしかにかかり易いお子さんが多くなっているために、どちらのワクチンも2回接種して免疫のあるお子さんを多くしようという考えからです。水ぼうそうワクチンもおたふく風邪ワクチンもこのMRワクチンと同じ理由で、2回接種が推奨されています。

 ではどのようなスケジュールで2回接種を行えば良いかといいますと

1) 水ぼうそうワクチンでは、1回目は1歳を過ぎてからなるべく早くに接種し、2回目はその後3か月以上をあけて2歳までに接種することが望ましいとされています。

2) おたふくかぜワクチンでは、1回目は同じく1歳を過ぎてからなるべく早くに接種し、2回目は5歳ころから小学校入学前の時期に接種することが望ましいとされています。

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4月よりヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンの予防接種法が変わりました!

今年の4月から、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンが、定期接種になりました! 

これでやっと日本全国のお子さん全員に無料で、この3種類のワクチンが接種できることになりました。

今までは国や自治体の臨時的な予算を使用して、これらのワクチンを無料もしくは一部自己負担で接種されてきていましたが、4月からは継続的に全国の対象となるお子さんに無料で、この3種類のワクチン接種できます。


ただしこの予防接種法の改正に伴い、接種期間や年齢が変わるワクチンもありますので、詳しくはクリニックのスタッフまでご相談ください。


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全国的に風疹が流行中です!


 去年のブログでも触れましたが、ここ数年前から風疹が流行りだしてきて、その大きな問題点として成人の風疹が多くなり、その結果妊婦さんに感染すると時に先天奇形のお子さんが生まれてくるケースが目立ってきています。

昨日のNHKのニュースでも大々的に取り上げられていましたが、風疹は子どもさんが罹ってもまれに脳炎血小板減少性紫斑病などの重大や合併症を起こすことが有ります。

また妊婦さんが罹りますと、「先天性風疹症候群」といって心臓や耳、目などの器官に奇形ができたり肺や糖尿病の病気を起こすことが有る重い大変な病気が生まれてくる赤ちゃんに発生する事が有りますので、妊婦さんはしっかりと予防対策をとってください。

予防対策は風疹ワクチンになります。しかしながら風疹ワクチンは生ワクチンですから妊婦さんには接種できません! そのため周囲の人がワクチンを接種してしっかりと予防し妊婦さんを守ってあげて下さい。

最近のデーターでは風疹にかかる人で一番多いタイプは、なんと成人男性です! つまり妊婦さんのパートナーが最も危険だということになります。お父さんも家族を守るためにしっかりとワクチンを接種して風疹に罹らないようにしてくださいね。

 

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アレルギー、ワクチンのシンポジウムにて(3:子どものワクチンの up to date )

 先月の東京でのシンポジウムの3番目のお話は、国立病院機構福岡病院部長の岡田先生による、ワクチンの最近の話題についてです。


 この中で先生は、ワクチンの副反応の中でも最近の子宮頸がんワクチンの接種後に問題になりました失神について、多くのデーターを基に説明されていました。

子宮頸がんワクチン接種後に、その痛みなどで接種後短時間に気持ちが悪くなって倒れこんだり、意識を失うお子さんが新聞などで報道されていましたが、

実はこの症状は子宮頸がんワクチンが開始される前にもいくつか報告されている副反応だったとのことです。


子宮頸がんワクチン他のワクチンと接種の仕方がやや違い

最初から筋肉注射で接種するようになっていましたので、他の皮下注射のワクチンよりも接種時の注射の痛みが強くなることが多いものです。


そのためその痛みの反射により血圧が下がり倒れこんだりすることがあります


しかしながらこの副反応は海外での調査でも同様に起こっており、その頻度もほぼ日本と同じであることから、特別わが国だけの問題ではないようです。

接種前にはあまり緊張させずに(友達の話などで非常に痛いワクチンだとの先入観で接種しようとするケースも多いようですが・・・)、

接種時にも緊張を解きほぐすような会話をしたり、

接種後すぐには立ち上がったり急いで動くなどの動作を控えるようにしてあげてください。

 


また、最近ではワクチンの種類も多くなり、複数回接種するワクチンがほとんどのため、最近の日本のお子さんのワクチンの接種回数は飛躍的に多くなってきました

そのため問題になるワクチンの副反応としてあげられる中に、アナフィラキシーと言うものがあります。

このアナフィラキシーというのは複数の臓器の症状が起こることを指しています(例えば接種直後の蕁麻疹と呼吸困難とか、失神と蕁麻疹とかなどです)。

このアナフィラキシーの報告は、新型インフルエンザワクチンの接種などで多く報告されていますが、他のどのワクチンでも起こりえます

そのため、ワクチン接種後は20分前後は何か変わったことが起きていないかどうかを観察し、症状が起こった際にはすぐに診察と処置ができるように、接種場所の近くで待機されることが必要ですね。


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子どもたちを守る予防接種(ワクチン)スケジュールについて(5:麻疹風疹ワクチン、水痘(水ぼうそう)ワクチン、ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン)


 麻疹風疹ワクチンは、生後1歳の時期生後6歳の小学校入学前の二回の時期に接種するようになっています。最近では接種率も向上し、全国的にもほぼ90~95%の小児が接種しています。しかしながら暫定措置として行われてきた中学生や高校生の接種率は80%程度の地域も多く、大学生や社会人になってから麻疹(はしか)風疹にかかる人が出てくる危険性が有ります。

事実昨年から全国的に風疹が流行してきていますが、この流行でかかっている人の多くは子どもではなく成人の男性です。男性も風疹のワクチンを接種するようになってきたのは約30年前からで、それ以前は中学生の女子に接種が薦められてきました。その結果風疹の免疫がない成人男性が取り残された状況のようです。麻疹でも風疹でも、脳炎や肺炎などの重い合併症を引き起こすこともあり、接種が不確かな方は確認して是非接種するようにしてください。

 水ぼうそうワクチンムンプスワクチンも、これらの病気によって脳炎や肺炎、難聴など主合併症を起こすこともあり、予防するワクチンとして重要なワクチンです。しかしながらこの両者とも定期接種ではなくて任意接種なので、全国的にも接種率はまだ40~50%と低い状態です。そのため保育所や幼稚園などでひとたび流行が起こると、数か月にも渡ってあとからあとから感染していって、園全体に感染が広がるケースが多くあります。

今まではこの二つのワクチンは通常1回の接種でしたが、先進国では2回接種するスケジュールが組まれており日本でも2回接種する方も多くなってきました。2回目の接種は水ぼうそうワクチンは1回目の接種後に早ければ3か月後からは2回目の接種が推奨されていますし、ムンプスワクチンは1回目を1歳の時に接種して、2回目を3~6歳の時に接種するスケジュールが推奨されています。

 いずれのワクチンも、詳しくは日本小児科学会のHPか、VPDを知って子どもを守ろうの会のHPに載っていますので、是非一度参考にご覧になってみてください。


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子どもたちを守る予防接種(ワクチン)スケジュールについて(4:不活化ポリオワクチン、四種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ)

 

 今回は、今年の9月から接種が開始されました不活化ポリオワクチンと今月から接種が開始されました四種混合ワクチン(従来の三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)に不活化ポリオワクチンを加えたワクチンです)についてのお話です。

 ポリオ不活化ワクチンは、9月から全国的に以前のポリオ生ワクチンという飲むワクチンから、ほかのワクチンと同じように注射のワクチンに代わりました。

 このワクチンはフランスで製造され、1982年以降世界中の86か国で使用されている安全性の高いワクチンです。

 もうすでに接種されたお子さんも多いかと思いますが、このワクチンは三種混合ワクチンと同じく生後3か月から接種が開始できます3~8週間隔で3回接種します。3回接種後は6か月以上の間隔をあけておよそ1年後に追加の接種を1回して完了です。

 この4回とも定期接種として国が認めたワクチンですので、公費負担で接種が無料となりました。

 すでに以前からのポリオ生ワクチンを飲まれているお子さんはその飲んだ回数により不活化ポリオワクチンの接種回数が違いますので、詳しくは主治医の先生にお伺いしてみてください。

 日本での治験でも高い有効性が認められましたし、副反応も他のワクチンに比較して特に多いものではありませんので、通常通りに接種して構いません。ただしほかのワクチン同様副反応が絶対無い100%安全なワクチンは有りませんので、接種の際には主治医の先生や病院のスタッフとよく相談されることは必要ですね。

 今月から接種が開始された四種混合ワクチンは、すべて国内での製造です。現在のところ2社から販売されていますが、全国的に品薄状態で、スタッフブログにも書かれてありますように希望されるお子さん全員に接種する本数は全国どこの地域でも確保されておりませんので、残念ながら今しばらくは四種混合ワクチンを接種するか、今までの三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンを追加して同時接種するかを主治医の先生と相談されてワクチンスケジュールを立ててみてください。

 接種間隔は今までの三種混合ワクチンと同じで、3回の初回接種と1回の追加接種で接種が完了します。

 時にワクチンの絶対数が不足する事態が数か月続く可能性もありますので、やむを得ない場合は四種混合ワクチンで接種を開始しても途中から三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンの組み合わせで2回目、もしくは3回目の接種をする場合もあります。

 どちらも同じように組み合わせて接種スケジュールを立てることができますので(ワクチン同士の互換性が有るといいますが)、この点もご了解されて接種を進められてください。

 


子どもたちを守る予防接種(ワクチン)スケジュールについて(3:三種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風)、BCG)

今回は、三種混合ワクチン(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)、BCG、についてのお話です。


 三種混合ワクチンの中で最も重要なのは百日咳の予防です。ジフテリアは日本ではほとんど見かけられなくなりましたし、破傷風はまれな病気になってきましたが、百日咳は今でも多い病気です。

特に最近は成人の百日咳の方が多くなり、小流行もときどき見かけられ、お母さん・お父さんからお子さんへの百日咳の伝染もしばしばあります。「成人の方は風が少し長引いているのかな?」程度の症状ですが、生後3~6か月の小さな赤ちゃんでは重症化しやすく、肺炎や脳症という思い病気になることもありますので、三種混合ワクチンは生後3か月になったらすぐに接種を開始してください。

1歳までに3回の接種を完了する必要があります。アメリカなどでは生後間もない小さな赤ちゃんの百日咳を予防するために、妊婦さんにも百日咳を含んだ予防接種をするような動きがあるくらいです。

また、学童や青少年、成人の百日咳を減らすためにDTワクチン(ジフテリア、破傷風の2種混合ワクチン:現在小学校6年生で接種しています)を新しくDPTワクチンを減量して接種して小児期以降の百日咳を予防する試みも考えられています。ジフテリアも破傷風も小児期ではほとんど発生がありまんが、破傷風は成人での発症も多くジフテリアは輸入での流行も懸念されていますので、2種類とも小児期を過ぎたところでの追加の接種が必要ですね。


 
BCGは現在でも日本では必要な予防接種です。なぜなら先進国ではほとんど見かけなくなった結核でも、日本は結核の中程度蔓延国なので、結核にかかるリスクは比較的高い国です。そして小児の結核の患者さんが誰から感染するかというと、85%以上のお子さんが両親や祖父母からの感染です。

つまり成人の方でお子さんに伝染させるような結核の方が意外に多いことが分かります。このため、BCGの接種を止めると小さなお子さんでは肺炎や髄膜炎などの重症の結核になりやすいために、この予防接種も小児には必要なワクチンです。

ただし最近ワクチンの同時接種も行われてはいますが、1歳前に接種した方が良いワクチンもかなり多くなってきていますので、これらのほかのワクチンとのスケジュールを考えると、BCGはこれからはワクチンスケジュールの立てやすい、「個別接種」と「ワクチン接種時期の延長(今までは生後6か月まででした)」へ方針が変わってゆくでしょうね。
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子どもを守るための予防接種(ワクチン)スケジュールについて (2:B型肝炎ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタワクチン)


 今回は、B型肝炎ワクチンヒブワクチン肺炎球菌ワクチンロタワクチンについてのお話です。


 B型肝炎ワクチンは日本ではなじみが少なく、ご存じでない方も多いかもしれませんが、このワクチンはその名の通りB型肝炎という病気を予防するワクチンです。


重症のB型肝炎はその後成人になって肝がんも発症することもある恐ろしい病気です。 

そのためこのワクチンは世界最初のがん予防のワクチンと言っても過言ではありません。

B型肝炎血液や唾液輸血などで伝染しますが、

一番よく知られているのは母子感染と言ってB型肝炎のウイルスを持っているお母さんから出産のときに赤ちゃんに伝染してしまうことが多く、そのため数十年前から日本でもこのような例にB型肝炎ワクチンを保険診療で(自費ではなく保険診療でワクチンの料金が支払われるので、乳幼児医療などを使えば無料です)接種しており、かなりの効果を上げています。


しかしながら唾液や汗などでも伝染する可能性もあり水平感染と言って同居しているご両親や祖父母の方からうつったり幼稚園や保育所でうつるケースもあり日本での年間の患者さんは2万人くらいとも言われ、

かなり多くの方が伝染している状況です。

またこのウイルスは赤ちゃんなどの幼い時期に移ってしまうと免疫が弱いせいでウイルスが体に残りやすく成人に比べて慢性化しやすく慢性化しなくても何らかの理由で免役力が落ちると再活性化と言って肝炎になりやすくなります

そのため生後2か月からという早い時期からの接種が薦められています。

 


ヒブワクチン肺炎球菌ワクチンは、細菌性髄膜炎と言う恐ろしい病気を防ぐワクチンです。


細菌性髄膜炎にかかると昔でいう「のうまく炎」というもので、

死亡したり重度の障害を残すことが多くあります。

しかもこの恐ろしい病気は約半分のお子さんで生後3か月から1歳までの早い時期にかかってしまうので、のワクチンも生後2か月からの早い時期にワクチンの接種を開始する必要があります。

また保育所や幼稚園などの集団保育では、この危険性が2~3になりますので、小さいうちから保育所などに入所されるお子さんはなおさら必要性が高くなります。

アメリカなどの先進国では(韓国や台湾も含め)すでに何年も前からこのワクチンを全員のお子さんに接種してきていますので、髄膜炎もほとんどかからなくなり(99%以上減少!)過去の病気になってしまいました。



 ロタウイルスワクチンの接種はロタ胃腸炎に対しての有効な手段です。

ロタ胃腸炎は乳幼児ではノロウイルス胃腸炎よりも多く一番多い胃腸炎です。

日本での推計でも一年間で約120万人が発症し、8万人近くが入院して治療を受け、10人近くのお子さんが亡くなっているといわれています。

また脳症と呼ばれる思い脳の病気にもなることがあり脳症の原因としてもインフルエンザ、突発性発疹に次いで3番目に多い病気です。

この病気も生後数か月で発症して入院することも多く、生後6週からワクチンが接種できますので、早めに接種して下さい。

ワクチンは2種類あり内容や接種回数が違いますが、どちらのワクチンも高い有効性が有ります。    


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子どもを守るための予防接種(ワクチン)スケジュールについて(1)


 先月に旭川で、日本赤十字社医療センター顧問の薗部友良先生による

ワクチンの講演会がありました。


ポリオワクチンヒブワクチン肺炎球菌ワクチンなどワクチン全般についてのお話で、膨大な資料を基にして講演して下さいましたので、その一部をお話しさせて頂きます。

 

まず最初は今後の予防接種制度についてですが、


1)B型肝炎ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、おたふくかぜワク チン、水ぼうそうワクチン、子宮頸がんワクチン等については、国会で審議が通り定期接種(全員のお子さんが公費で無料で接種できます)になることが決定しましたが、予防接種法の改正を待たねばならず、今のところはあまり進展がないようです。

2)日本での任意接種のワクチン(希望により自費で接種するワクチンで、おたふくワクチン、水ぼうそうワクチン、B型肝炎ワクチンなど)はWHO(国際保健機構:国連の世界的な機関です)がすべて定期接種にした方が良いと薦めてるワクチンで、世界の先進国ではもうすでに全員のお子さんに接種しています。

 

二番目に予防接種のスケジュールの基本は、


定期の決められているワクチンからというわけではなく、どのワクチンであっても良いのでかかると重い病気や流行している病気のワクチンを優先して接種します。

必要性の高いワクチンは接種できる月齢になったらすぐに接種しましょう


定期接種(三種混合やポリオなど)でも流行が少ない病気のワクチンはその後でも構いません。


そして、数多くのワクチンを接種しなければならないので、同時接種を基本にして早めにお子さんに免疫をつけてあげてください。(詳しくはVPD(ワクチンで防げる病気)の会の新スケジュールを参考にしてください)

 

次回からは、B型肝炎ワクチンや、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなどのそれぞれのワクチンについて、トピックス的にお話いたします。

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第22回日本外来小児科学会にて(その8):同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション


今回で日本外来小児科学会でのお話は最後になります。最後にワクチンの同時接種を進めてゆくときに大事なことについて2、3点触れたいと思います。

 単独接種や同時接種にかかわらず、ワクチンについて安全なワクチンの改良とワクチンに対する市民の皆さんの信頼と安心感がワクチンのリスク・コミュニケーションに必要ですが、アメリカでは全国的なネットワークで、ワクチンで防げる病気やワクチン副作用情報についてインターネットを使用して集積しています。その中の説明文章では、ワクチンで防げる各病気の説明や、ワクチンのリスクや副反応、そして何らかの理由でワクチンを接種できない人や有害事象(重い副反応)が起こった時の情報の問い合わせ先などがいつでも見られるようになっていて十分な情報開示がなされています。

 また現在の日本で必要な市民・保護者の方への啓発と広報活動として、1)風疹が大流行しているため妊婦への情報提供が必要で、小児科医と産婦人科医・助産師との連携が重要。2)出生早期から始めなければならないワクチン接種への対策として、出生届と乳幼児医療費助成申請時に、ワクチンのパンフレットを同時に配布する。3)同じく出生早期の広報活動のために保健師の戸別訪問や、参加・小児科での1か月健診を利用して早期のワクチン接種を推奨する。4)学校でのワクチン教育を進めて学童・生徒にワクチンで防げる病気について知ってもらう。を挙げていました。

 最後にまとめとして

・適切な時期に適切なワクチン接種をするためには、同時接種は必要な医療行為であること。

・同時接種に対する不安は、真の健康被害を基にしたものではないが、真摯に受け止めることが大切。

・ワクチンのリスク(副作用・危険度)とベネフィット(利益)を正しく比較してもらうために、医療従事者の役割は大きい。 と話されていました。

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第22回日本外来小児科学会にて(その7):同時接種とワクチン・リスク・コミュ二ケーション

今までにブログで触れさせていただいたのは、ワクチン・リスク・コミュニケーションという演題の中でのお話でしたが、このワクチン・リスク・コミュニケーションとは何かといいますと、

被接種者(お子さん)保護者医療従事者、行政、マスコミ、専門家などが、ワクチンの利点と副作用などのリスクについて、またワクチンで防げる病気のリスクについて、お互いに正確な情報を認識し合うということですね。


 どんな予防接種も全く安全な予防接種は有りません

きわめてまれに重い副作用が生ずることがありえます

そのため健康被害の正確なモニタリングや副反応のより少ないワクチンの開発が求められます

しかしながらワクチンの副作用に対する過度な報道(例えば昨年の同時接種後の死亡例の報道など)がありますと、その死亡がワクチンの原因ではない死亡(他の病気や乳幼児の突然死など)であっても、ワクチンに対する不適当な恐怖が市民のあいだに広がり、その結果ワクチンの接種を避ける状態が続きますと、

今度はワクチンで防げる病気が蔓延し、その病気による死亡が増えてしまうという状況が起こります。

 

1999年に行われたアメリカでの全国調査でも、ワクチンは病気の予防に極めて重要であると答えた方は87%にのぼりますので、ワクチンの利点や有用な情報を副作用のリスクなどとともに正確に保護者の方に伝え、自信を持ってワクチンの接種を勧めることが大切だとお話されていました。

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第22回日本外来小児科学会にて(その6):同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション

 前回に引き続いて、ワクチンの同時接種についての講演からです。

海外でのワクチンの同時接種は、1980年には既にアメリカでMMR(はしか、風疹、おたふくかぜ)や、三種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風)不活化ポリオワクチン同時接種が行われていました。1986年にはアメリカではしかの大流行があり、そのうちの4割弱くらいの子さんではしかのワクチンが未接種のため、同時接種をしていなかった医師の責任が問われる事態となりました。海外の先進国では1980年代から1990年代にかけてワクチンの同時接種に関しての研究がいくつも発表されましたが、どれも同時接種で重い副作用の発生は増加しないという報告ばかりでした。

日本では昨年の3月に同時接種後の死亡例の報道が有り、多くの皆さんに不安を与える結果となりましたが、一時的な中止後にすぐに同時種が再開となり、その後のワクチン接種の数も報道前よりも数多く接種されていますが、接種後の死亡例が増加したという報告も報道も現在のところ有りません。もともとワクチンの同時接種以前の古くから乳幼児突然死症候群という原因不明で小さな赤ちゃんが亡くなる病気が知られていますが、ワクチン同時接種後に亡くなられたお子さんの多くの方はこの病気であった可能性が高そうです

 鹿児島県で行われた3年間にわたるワクチンの安全性の調査でも、ワクチンの同時接種と単独接種を比較してみても副作用の頻度には差がなかったという結果が出ています。

 以上のことから、世界的に見ても日本のこれまでの報告を見ましても、ワクチンの同時接種によって引き起こされる重大な問題はないことが分かりましたので、お子さんにとって必要なワクチンを必要な時期に接種するためには、同時接種を前提としてお子さんのワクチンスケジュールを組み立ててもらって下さい。

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第22回日本外来小児科学会にて(その5):同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション


学会の2日目のセミナーでは、鹿児島大学の西順一郎先生による、「ワクチンの同時接種とワクチン・リスク・コミュニケーション」の講演でした。


 最初に日本小児科学会推奨の予防接種スケジュールを表で示され、早いものでは生後6週目からのロタワクチンから開始するスケジュールと、

生後8週目からの同時接種(ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタワクチン)を前提とした最速のワクチンスケジュールも示して頂きました。

ただしどちらもBCGの集団接種ではスケジュールの調整が困難なため、BCGの個別接種への移行が必要であると話されていました。


旭川市でも来年度からBCGの集団接種から個別接種へと移行する予定ですので、今後は旭川の乳幼児のお子様も同時接種を前提としたワクチンの接種スケジュールが立てやすくなります。


 またワクチンの単独接種では、必要なワクチンを全部接種するためには生後6か月までに合わせて全部で15~16回の接種のための受診が必要ですので、かなり大変なことになります。

インフルエンザ菌や肺炎球菌による髄膜炎という重い病気は生後6か月にはもう発病しているお子様も出てくるために、かかる前に接種するワクチンの原則からすると、やはりどうしても同時接種が必要だということになりますね。

 

日本小児科学会でも、「予防接種の同時接種に対する考え方」において、

  1. ワクチンは適切な時期に適切な回数を接種することが重要で、
  2. 有効性については各々のワクチンでのお互いに影響する作用は無く、
  3. ワクチンの同時接種により重い後遺症や副反応の頻度は多くならず、
  4. ワクチンの同時接種は日本の子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るために必要な医療行為である。 

と示されています。

 

次回は、このセミナーでのお話の中で、「海外における同時接種」と「日本の同時接種に対する不安」というお話をいたします。

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「ワクチンフォーラム2012」にて:ワクチンの同時接種の安全性、不活化ポリオワクチン、4価ワクチン、インフルエンザワクチンについて(その2)


9月5日のワクチンフォーラムでの崎山先生のお話の続きです。

今回は不活化ワクチン、4価ワクチン、そしてインフルエンザワクチンについてです。

 

今月の1日から全国で不活化ポリオワクチンの接種が開始されています。

今までのポリオ生ワクチンと違い、ワクチンによる麻痺がない安全性の高い注射するワクチンです。


もう既に接種された方も多いかと思いますが、今回の不活化ポリオワクチンはフランスから輸入されたワクチンですが、国内での治験後に使用されることになり、各地で多くのお子さんに接種されています。

未発表のデーターですが、今年の春の主要都市におけるポリオ生ワクチンの接種率は60%台に下がっていましたので、かなりたくさんのお子様がポリオに対しての免疫がない状態です。

ポリオの接種が済んでいないお子さんは早めに不活化ポリオワクチンを接種してくださいね。

 

そして、11月からは新しいワクチンが開始されます。

今までの三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)と不活化ポリオワクチンが合わさったワクチンで、計4種類のワクチンが入っている混合ワクチンのため4価ワクチンと呼ばれます。

このワクチンは現在のところ2社から発売される予定(クアトロバック、テトラバックという商品名です)で、どちらのワクチンも使用できます。

 


最後のインフルエンザワクチンについてのお話では、インフルエンザワクチンの有効性についてでした。

よくインフルエンザワクチンは効かないと言われているようですが、

崎山先生のお話ではその評価の仕方が誤っているものが多く正確に評価した研究を集めると実際にはワクチンの効果は60~70%程度はあるとのことです。


但し2歳以下でのインフルエンザワクチンの効果は少ないとのことで、この年齢層でのインフルエンザワクチンの接種に関しては、色々と相談の上でということになるかもしれません。


しかしどのワクチンでもそうですが、インフルエンザワクチンにも集団免疫効果というものが有り、

その集団(学校なり幼稚園や保育所、その地域など)でのワクチンの接種率がなり高いと、ワクチンを接種していない人にも病気にかかる率少なくなるという効果を及ぼしますので、はやりワクチン接種は大事だということになりますね。

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「ワクチンフォーラム2012」にて:ワクチンの同時接種の安全性、不活化ポリオワクチン、4種混合、インフルエンザワクチンについて(その1)

 

 一昨日の水曜日(9月5日)に、旭川にて旭川小児科医会主催の「ワクチンフォーラム2012」が開催されました。ワクチンの話題では有名な、東京都府中市の崎山小児科医院の崎山 弘先生に御講演を頂きました。題名は「明日から役に立つ予防接種の新しい知識―不活化ポリオ、4種混合、インフルエンザ、同時接種についてー」でした。

 最初にワクチンの同時接種の安全性についてのお話でした。去年の冬にワクチンの同時接種後に亡くなった赤ちゃんの報道があったのはご存知の方も多いかと思いますが、その後間もなく同時接種が再開され、報道以前以上にワクチンの同時接種が全国で行われていますが、それによって亡くなったという報道は一切有りません。崎山先生のお話では、10年以上も前にヨーロッパでワクチンの同時接種と乳幼児の突然死の研究がなされ、それによりますと同時接種をしたからといって赤ちゃんの死亡率が増えることはなく、むしろ同時接種をしていた方のグループの方が、同時接種をしていないグループよりも突然死を起こしにくい(フランス、ドイツなど)という結果が出ているようです。確かにワクチンを複数同時に接種すると、発熱などの頻度は高くなるかもしれませんが、死亡例や後遺症を残す方などの重い副作用は有りません。なので、皆さん安心して同時接種をしてください!というお話でした。加えて同時接種をしないで単独接種だけではワクチンの完了も遅くなり、その結果ワクチンで防げる病気に残念ながらかかる可能性も高くなります。

 1歳のお誕生前までに接種できるワクチンは、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチンから始まって、全部接種すると15~20回くらいになります。これを単独で接種しようと思うと大変な受診回数になりますので、接種できるときは同時接種を進めてゆくと良いでしょうね。

 次回は、不活化ポリオワクチン、4価ワクチン、インフルエンザワクチンについてのお話です。

第22回日本外来小児科学会にて(その3);ワクチンで防げる病気(VPD)の最近の話題について(1)

学会の一日目のランチョンセミナーはワクチンのスケジュールについてのお話でしたが、その中で、ワクチンで防げる病気(VPD :麻しん、風疹、結核、百日咳など)についての新しい話題のお話でした。


1) 麻しん(はしか)は、最近になりかかる人が少し多くなって来ましたが、はしかウイルスの株の分析によりますと、昔のはしかは国内に流行していた株が多く、その株を持った人が外国に出掛け、外国で発症しその国の人に移すために、「日本ははしかの輸出国だ!」と諸外国から非難されていましたが、最近の日本国内ではしかで発症する人のはしかの株は、ほとんどが外国での発症の株のため、「日本ははしかの輸入国になってしまった!」ということです。世界中での移動が容易な今日、はしかのワクチンをしっかり受けましょう。


2) 風疹は、妊婦さんがかかってしまうとお腹の赤ちゃんに奇形が起こる大変な病気のため、成人女性に気を配られがちですが、実は風疹にかかってしまう人で一番多いのは、成人男性なのです! 男性のほうが女性の2~3倍もかかっており、しかも一番かかっている年代は20~30台の男性です。そうです、妊婦さんのパートナーが一番風疹にかかっているのです。そのため日本産婦人科学会のHPには、「風疹が流行しています!妊婦の夫世代が最多!!妊婦さん本人は風疹ワクチンを受けられません。妊婦さんが風疹にかかるとお腹の赤ちゃんに高率に奇形が発生します。妊婦さんの同居家族は風疹ワクチンを受けて下さい!」と注意が喚起されています。


3)BCGは乳幼児の重症の結核(髄膜炎や重い肺炎など)の予防に必要です。1年間に新しく発症する小児の結核患者さんは1965年では44180人だったのが、1975年では4905人、2009年では73人とかなり減っています。でも日本は先進国の中ではまだ成人や老人の結核患者さんが多い「結核の中程度の蔓延国」です。そのため先進国のように、今現在BCGの接種を止めてしまうと乳幼児の結核の患者さんがかなり増えますので、BCGもしっかり接種しましょう。ただし、近い将来にはBCGの接種時期が少し変わるかもしれません。


4)百日咳もワクチン(三種混合ワクチン;DPT)を接種する時期から、子どもさんの病気と考えられがちですが、最近は成人の方の百日咳が増加しています。なんと全体の患者さんの6割くらいの方が15歳以上の生徒、成人、老人なのです。これは小児の時期ではワクチンの効果が残っていますが、成人になるにつれてワクチンの効果が減ってかかりやすくなる上に、成人の方の百日咳は症状が強くないので、長引くカゼくらいに捉えられ、未治療ですと周囲の乳幼児や小児に感染させ、そのお子さんたちが百日咳になってしまっています。そのため、今後は小学校6年生に接種している2種混合ワクチン(破傷風とジフテリア)に更に百日咳を加え、新しい三種混合ワクチンを小学生や中学生に接種しなければならないと考えられています。先進国の中では、成人の方の百日咳の予防のために成人にも三種混合ワクチンを接種している国もあります。


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本日から、不活化ポリオワクチンの接種が開始されました!

本日(9月1日)の土曜日から、厚生労働省の予防接種実施規則の一部が改正され、全国的に不活化ポリオワクチンの接種が開始されました。

これで、対象年齢(ポリオワクチンの接種がまだ完了していない、生後3か月から7歳6か月までの全国のお子さん全員です)の方に、ポリオ関連麻痺という副作用のない不活化ポリオワクチンが接種出来るようになりました。

このワクチンは、当院のスタッフブログでも詳しく説明しておりますが、今までの生ワクチン(口から飲むワクチン)と違って、三種混合ワクチンやヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンと同じように腕もしくは太ももに注射での接種によるワクチンです。

もちろん、上にあげた種々のワクチンとの同時接種が可能ですので、今までに比べてもワクチンの接種スケジュールの立て方が楽になります。

ただし回数に関しましては、今までの生ワクチンが合計2回の接種で済んでいたのに対し、今回の不活化ポリオワクチンは合計4回の接種で完了となり、今までのワクチンの接種した回数によっても違います。

例えば、

1)今まで1回もポリオワクチンを接種していないお子さんは、20日以上の間   隔をあけて3回の接種とその後6か月以上の間隔をあけて1回接種の、計4   回の接種が必要です。

2)今までに生ポリオワクチン(飲む経口のワクチン)を1回飲まれているお子   様は、20日以上の間隔をあけて2回の接種をし、その後は1)と同じ接種   を追加します。

3) すでに生ポリオワクチンを2回接種したお子さんは、不活化ポリオワクチンを接種する必要はありません。

以上の知識を持ちながら、お子さんの不活化ポリオワクチンを進められてください。

なお、今年の11月くらいからは新しいワクチンが開始されます。不活化ポリオワクチンと三種混合が合わさった新しいワクチンです。

三種混合ワクチンもポリオワクチンもどちらも接種されていないお子様は、この新しいワクチンの接種が望ましいですね。

9月1日から、不活化ポリオワクチン(商品名:イモバックスポリオ)が接種開始予定です


 今年の春のポリオの生ワクチンの接種は、副作用の心配もあり、全国的に接種率が低かったようです。今回新たに開始される予定の不活化ポリオワクチン(イモバックスポリオ)は、この副作用が見られない、皮下注射による安全なワクチンとして、日本で認可されました。

このままの予定で行けば、9月1日から自治体の公費負担により、無料で接種が開始できるようになります。

1982年に欧州で承認されて以降、世界中の86か国で接種されている安全性の高いワクチンです。このワクチンは接種したお子さんの便にウイルスが排泄されることも無く、そのため排便後の手洗いに注意したり、周囲の人に伝染する事もありません。

早ければ生後3か月のお子さんから接種を開始することができます。2回目以降は3~8週間の間隔をあけて3回接種して、初回の接種が完了します。これによりほぼ100%の防御効果があるようです。

今までに時期が過ぎていて、ポリオワクチンを接種していない大きなお子さんでも、7歳6か月までは接種することができます。またポリオの生ワクチンを1回飲んでいるお子さんでは、あと2回このワクチンを皮下注射することにより、初回の接種が完了します。

三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)やヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンとの同時接種も可能です。

詳しくお聞きになりたい方は、気軽にスタッフにお尋ねください。

 

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子宮頸がんワクチン(ガーダシルとサーバリックス)について

前回までのお話では、2種類の子宮頸がんワクチン(ガーダシルサーバリックスについてお話いたしましたが、最後にこのワクチンを接種するにあたって、保護者の方へご説明する時の重要なポイントを幾つか、以下にお示しいたしますので、どうぞ参考にして頂ければ幸いです。

 

1.     子宮頸がんワクチンの種類は2種類あり、それぞれ以下の利点がありますので、これを踏まえて、接種するワクチンを選択してください

A)   2価ワクチン(サーバリックス);子宮頸がんのガンなど複数のガンを予防する型が2種類ふくみます。子宮頸がんではこの2種類で70%を占めますが、残りの30%の人には効きません。

B)   4価ワクチン(ガーダシル)2価ワクチンの効果に加えて以下の病気に効果のあるウイルスの型が加わります。・・・尖圭コンジローマ(局所のイボ)と呼吸器のイボ(母子感染で子どもにうつります。稀な病気ですが命に関わることがあります。)

 

 

1)この2つのワクチンの値段は同じです。

2)効果は現在までは同じですが、サーバリックスの効果の持続が少し長いかもしれません。

3)数年後には「がん」に効く5種類が加わった9価ワクチンが発売される予定です

  このワクチンは、がんに対しては90%程度まで効果があります。

  性交渉を待てれば9価ワクチンの発売まで待つのも一つの選択肢です。ただし数年後先になる可能性もあります

  今回このガーダシルを接種して、さらに数年後に9価ワクチンを追加で接種出来れば、重なった型については、効果が高くなる可能性があります。

 

以上を踏まえまして、ワクチンの選択をしてみてください。


ただし何回も触れましたが、ワクチンだけではガンは完全には予防出来ませんので、「20歳になったら子宮がん検診」を受けることも大切です。


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子宮頸がんワクチン(ガーダシルとサーバリック)とB型肝炎ワクチンについて:2


子宮頸がんワクチンは、日本では現在2種類のワクチンが発売されています。

どちらも中学生から高校生の女子のお子様には、公費負担で無料で接種することができます。

またどちらのワクチンも複数回(3回ほど)の接種が必要で、その有効率は約7割くらいと言われています。


大きな違いは「サーバリック」はヒトパピローマウイルス(HPV)と言われる子宮頸がんを発症するウイルスに対する免疫が2種類(HPVの16型と18です)であるのに対し、「ガーダシル」の方は子の免疫をつける型が4種類HPV6型、11型、16型、18です)あるということです。

これによって、「サーバリックス」が子宮頸がんに対する免疫のみに対し、「ガーダシル」の方はHPVというウイルスの感染によって引き起こされる他の性感染症の尖圭コンジローマなどの病気の発症をある程度予防できるという違いがあります。

この病気は男性も発症しますし、このウイルスが赤ちゃんにもうつる母子感染症の原因にもなります。

ただしどちらも子宮頸がんに対する有効性は今のところ同じで、ほぼ100%程度と言われおり、世界中で100カ国以上の国で接種されています。

子宮頸がんワクチン(ガーダシルとサーバリックス)とB型肝炎ワクチンについて

現在子宮頸がんワクチン(商品名:ガーダシルとサーバリックス)が、中学校1年生から高校1年生の女子に対し、公費負担のため無料で接種できるようになっています。

今回は一昨日の旭川小児科医会の講演会から、この子宮頸がんワクチンについてのお話です。日本ではこのワクチンは、サーバリックスが2009年12月から、ガーダシルが2011年8月から接種が開始されています。このワクチンは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスの感染症に対するワクチンです。

それが何故子宮頸がんの発症予防にある程度効果があるかというと、「子宮頸がん」という女性特有のガンが実はウイルス感染による感染症の重い合併症だからです。子宮頸がんは日本では年間7000人の人が発症しているそうです。その原因がこのウイルスの感染によるためで、ワクチンを接種することによってこのウイルスに対する免疫をあらかじめ付けておくことにより、このガンの発症を減少させることが出来るというわけです。

しかしながら、子宮頸がんはこのワクチンだけで予防できるかと言いますと、その予防効果にも限りがあります。そしてこの病気はHPVというウイルスの感染による、性感染症です。ですからワクチンだけではなく、思春期のお子様に対する性感染症への健康教育と、ワクチンで防げない一部の子宮頸がんの早期発見のためのがん検診も重要になります。

次回は、この子宮頸がん予防に有効なワクチンが2種類ありますので、その点についても触れたいと思います。


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北海道ではHibと肺炎球菌による髄膜炎が減少してきました

先週の水曜日に、札幌で北海道小児科医会理事会が開催され、出席してきましたが、その中でトピックスとして、北海道では最近インフルエンザb型菌(ヒブHib)と肺炎球菌による細菌性髄膜炎の発症が減少してきているとの報告がありました。やはりここ2~3年前から多くのお子様がヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種されるようになり、その効果が現れ始めてきていると強く感じました。

北海道では毎年20人近くのお子様が細菌性髄膜炎という重症の病気にかかり、何人ものお子様が亡くなったり、重い後遺症を残す事態が続いていました。そしてこの髄膜炎という重い病気の原因の殆どが、ヒブや肺炎球菌が体内に入りこむことによって起こります。

このため、赤ちゃんの早い時期からヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種して、このバイ菌に対する免疫を付けておくと、このような病気にかかることが殆ど無くなってきます。すでに10年以上も前からこのワクチンを接種している世界中の多くの国では、この髄膜炎には殆どかからなくなり、死亡するお子様も稀になってきています。日本もやっとこのような状態に改善されてきているという訳です。

その時の報告では、インフルエンザb型菌(ヒブ)による細菌性髄膜炎は昨年の10月から、肺炎球菌による髄膜炎が同じく昨年の8月頃から、北海道での発症がゼロのまま続いているとのことでした。この報告はお子様や保護者の方にとってだけではなく、細菌性髄膜炎という重い病気で、さんざん苦しめられた私たち小児科医にとっても朗報で、大きな喜びです。

そして、この病気だけではなく、他にもワクチン防げる病気が数多くありますので、もっともっと多くのお子様が種々のワクチンを接種して、ワクチンで防げる病気を少なくさせることが必要だと思います。


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ロタウイルス胃腸炎のワクチンのシンポジウムにて(2)

前回に引き続いて、ロタウイルス胃腸炎予防のワクチンについてのシンポジウムのお話です。

このワクチンの一つは既に昨年の秋に発売されています(商品名:ロタリックス)。このワクチンにつきましては、既にこのブログでも去年に何回かお話していますが、生後6週(生後1か月半)以後からワクチンを接種することが出来ますので、日本で接種できるワクチンの中では一番早く接種できるワクチンです。1回の接種では不完全ですので、4週間の間隔をあけて合計2回接種します。

今年の夏か秋ころにはこのワクチンとは別のもう一つのワクチンが発売される予定です(商品名:ロタテック)。こちらのワクチンも生後6週以後より接種が開始できますが、接種回数は3になっています。


どちらのワクチンも効果はほぼ同じのようです。新しく発売されるワクチンにつきましても、重症の胃腸炎に対する予防効果は、1回目の接種で75%、2回目の接種で79%、3回目の接種では100%近いお子さんに予防効果が認められました。

さらにこのワクチンが広く接種開始されたことにより、思わぬ効果が認められたそうです。その効果というのは、実際にワクチンを接種するのは6か月未満の小さなお子さんですが、そのお子さんがワクチンでロタウイルスに対する免疫がつくと、ほかの年齢層(2~6才の年長児や6~12才の学童など)においても、ロタウイルス胃腸炎の流行がかなり少なくなったそうです。

乳幼児以外でも「ワクチンによる集団免疫効果」が認められたということですね。

もうすでにこのワクチンを幅広く接種しているアメリカなどでは、全年齢層でのロタウイルス胃腸炎の流行が減少しているという報告がありますので、そのうちロタ胃腸炎の流行も昔話になるかもしれませんね。



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本日で旭川市のポリオワクチンの接種が終了しました

今週の月曜日から一週間続いた、旭川市の生ポリオワクチンの接種が終了しました。

今年の9月から不活化ポリオワクチンの接種が開始される予定になっていますので、今春のこの一週間が、生ポリオワクチンの最後の接種になるかもしれませんね。

この不活化ポリオワクチンについては、このブログの話題でも何回も取り上げたワクチンですし、最近になり全国的な生ポリオワクチン接種率の低下が報告され、大体70~75%程度の接種率との報告が有りましたので、旭川市の接種率がどのくらいになるのか心配していました。

そこで、当クリニックでのこの一週間の生ポリオワクチンの接種者数を調べてみましたところ200人弱の方が接種されていました。例年ですとこの時期にポリオワクチンを接種された方の数は、大体20人前後ですので、ほぼ8割程度のお子様が接種されたようです。

今回体調が悪く、ポリオワクチンを接種できなかったお子様は、9月から始まる不活化ポリオワクチンに備えて、他のヒブワクチン肺炎球菌ワクチン三種混合ワクチンなどを済ませておくようにしましょう☆


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旭川では今日から1週間、ポリオの生ワクチンが接種できます

 本日の月曜日から土曜日までの1週間にわたって、旭川ではポリオの生ワクチンが接種できます。

今回は不活化ポリオワクチンが9月から接種が開始される影響で、去年までに比べて、ポリオワクチンを接種するお子様の数が減少することが予想されます。

今月初めからポリオの生ワクチンが開始されている札幌市では、7割くらいのお子様が生ワクチンを接種している現状のようです。


旭川の接種率はどのくらいになるでしょうね。

ワクチンによる予防医学の観点からは、なるべく多くのお子様が生ワクチンにしろ不活化ワクチンにしろ接種して、全体として免疫が付いているお子様が多いと良いのですが。。。(u_u)


話は変わりまして、昨日は旭川医科大学小児科学教室の新人歓迎会が開催され、出席してきました(^^ゞ

全国的に小児科医師不足が叫ばれ、小児医療(特に小児救急医療)の荒廃が危惧されている中、3人もの小児科を志す若い医師が入ってきてくれたことは、本当に嬉しいことですね

 30年前の自分の頃はどうだったかなと、しばし感慨にふけりましたが、まだ老け込む年では無いので、若い人からも活力をもらって、まだまだ頑張らねば!!(^o^)


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旭川市のポリオ不活化ワクチンの導入について

 

 最近、このブログでも何回か取り上げましたポリオ不活化ワクチンについて、先日、旭川市保健所と旭川市医師会の連絡会議でも議題の一番最初に上ったようです。

 

旭川市の方針としては、今後の予定として「"ポリオ不活化ワクチン"につきましては、5~6月以降に、国から市町村(旭川市など)に周知される具体的な実施方法を踏まえ、旭川市医師会と協議を行い、乳幼児等予防接種事業委託契約の変更を進めるとともに、合わせて市民周知を行い、決定ではありませんが9月1日からポリオ不活化ワクチンの接種を開始する予定です。」との話し合いが行われたそうです。


 ここ数年間に、同じようにヒブワクチン肺炎球菌ワクチン子宮頸がんワクチンが、無料(国や自治体などの公費負担のため)で接種できるようになってきましたが、たぶん今回のポリオ不活化ワクチンも同じような経過で接種が進められるようになるかと思います。その時期については話し合いの中にもありましたように、ここ1~2か月以内に国の方針が示されるようになったなら、また新聞等の報道でも皆様のお目に止まるかと思いますが、旭川市でもポリオワクチン接種について市民の皆様への周知を行うとのことですので、市民広報や旭川市のホームページなどにも目を通しておく必要がありますね。

もちろん、具体的な経過がわかり次第、当院のホームページやブログなどでアップしてゆきますね。

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ゴールデンウイークはいかがでしたか?

昨日でゴールデンウイークも終了しました。

皆さんは、いかがお過ごしでしたか?

悪天候のため、自宅で過ごされた方、何とか予定の行動が取れた方、様々な過ごし方をされたのではないでしょうか・・・

私も、昨日はやっと雨が上がったようでしたので、美瑛~富良野方面をドライブしてきました。


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写真は、上富良野方面から十勝岳連峰を眺めた感じです。ケータイの写メでしたので、写りはよくありませんが、素敵な残雪模様の雰囲気が出ていましたら嬉しいです・・・

この時期の山並みは、ほかの季節では表せないような山肌と残雪の見事な縞模様ですね。

 

さて、ワクチンにつきまして前回までいろいろなお話をさせていただきましたが、旭川では再来週からポリオワクチンの接種が始まります。

ここで気をつけなければならないのは、ポリオワクチンの接種率が危険な状態まで下がってきていることです。

先週に旭川保健所のワクチン担当の方にお話を伺ってきましたが、MRワクチンや乳児期のヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンは、接種予定者のほぼ9割近くの方が接種していましたが、

ポリオワクチンは7割くらいの接種率で、3割くらいの方がポリオに対しての免疫が無いそうです。

この接種率では万が一ポリオウイルスが日本に入ってくると、大流行しかねない水準だそうです。

そのため、国などではポリオの接種を強力に勧めていますが、やはりポリオ不活化ワクチンの選択が問題になってきます。

 任意でポリオ不活化ワクチンを接種するか? もしくは国の責任の範囲でポリオの生ワクチンを飲むか?保護者の方にとっては難しい選択かと思います。

前回までの講演会の演者の先生も強調されていましたが、「どちらのポリオワクチンも接種しないで時期を待つのが一番危ない選択です!」との言葉が記憶に強く残っています。

 

予防接種(ポリオ不活化ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど)の講演会にて(6)

前回のブログでは、ワクチンの同時接種についてお話いたしましたが、

今回はその同時接種をする場合でも単独接種の場合でも、ワクチンの間隔が空いてしまった場合はどのようにしたら良いかについてお話したいと思います。

 まず基本的な考え方として、不活化ワクチン(ポリオ不活化ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど)では、最初に複数回(2ないし3回接種します。ワクチンの種類によって違います)を接種すると初回免疫が完了します。

その後多くのワクチンでは6ヶ月以上の間隔をあけて追加免疫をすると、これで基礎免疫が獲得されます。

 この時の初回免疫は、数回接種する場合の接種間隔がそれぞれ決まっていますが、もし体調不良などの理由で、決められた時期に次のワクチンの接種ができない場合でも、しっかりと予定の回数を接種することが大事です。

必要なトータルの接種回数を完了してあげてください。

そして先ほどお話しましたように、追加免疫は一定の期間(多くは6ヶ月以上)の間隔をあけて接種してください

これは、今まで触れていましたポリオ不活化ワクチンも同じです。


 最後になりますが、このようなワクチンは日本の国が予防接種法で定めていますワクチンと、世界的にWHO(世界保健機構)が推奨しているワクチンがあります。

 ちなみに日本の予防接種法の対象ワクチンは三種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)、BCG、ポリオワクチン、MR(はしか、風疹)ワクチン、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチンです。

 またWHOが推奨しているワクチンはBCGB型肝炎ワクチン、ポリオワクチン、三種混合ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタワクチン、子宮頸がんワクチンが有ります☆彡


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予防接種(ポリオ不活化ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど)の講演会にて(5)

「ワクチンは接種可能な年齢に達したら、すぐに接種しましょう!」と、前回のブログでお話いたしましたが、そのためには早くからワクチンの同時接種を進めてゆく必要があることを、講演会では強調されていました。

 まず同時接種の利点ですが、1)病気にかかる前の予防のために、1歳前の赤ちゃんの早い時期から、複数の感染する病気に対しての免疫を付けることができる(病気にかかりにくくすることが出来る)2)ワクチン接種のために、病院を受診する回数を減らすことで、お母さんやお子様の負担を軽くすることが出来る。3)心臓病や神経の病気などの慢性的な病気を持っているお子様は、感染する病気にかかると重くなりやすいのですが、このようなお子様に対しても、体調の良い時期を見計らって複数の免疫を付けることが早めに出来る。 などがあります。


 また、同時接種することに対しての心配や疑問の中では、

1)有効性が劣ることはないのか?ということが心配されますが、一度に複数のワクチンを接種しても、その後の他のワクチンの間隔をしっかり守れば、同時接種のワクチンの有効性は単独の接種と比較しても同じぐらいの有効性が認められています。

2)同時接種を行うことにより、単独の場合に比べて安全性が劣ることはないのか?ということも、一時期の新聞報道などで皆さんもご存知でしょうが、これに関しても同時接種によって副作用の回数や重さが増えることは認められておりませんので、安心して同時接種を行うことができますね。


 全国の小児科医で組織されています「日本小児科学会」でも、ホームページにはワクチンの同時接種のスケジュールが載っていますが、BCG、ロタワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ポリオワクチンなどは、赤ちゃんの早い時期に同時接種を進めてゆくスケジュールになっていますので、是非参考にしてみてください。




予防接種(ポリオ不活化ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど)の講演会にて(4)

前回までのブログでは、ポリオ不活化ワクチンについてお話いたしましたが、今回の講演会では、他にもヒブワクチンや、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、MRワクチンなどについてのお話がありました。


 まず、ワクチンの接種時期に関するお話では、「接種可能な年齢に達したら、なるべく早い時期に接種を行うこと」です。

感染症という病気に対しての予防手段であるワクチンは、そのお子さんが病気に罹ってひどくなる前に接種してこそワクチンの効果があります。

何を当たり前のこととおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんが、外来でよく見かけるのは、保育所などで早い時期に集団生活に入りますと、それこそいつ水ぼうそうやおたふく風邪にかかってもおかしくはありません。

かかってしまったお子さんを持つ保護者の方から、「そのうち、ワクチンを接種しようと思っていたのに・・・・」という言葉がよく聞かれます。やはり「ワクチンは、かかる前に接種する!」ですね。

 特に、細菌性髄膜炎や敗血症など、かなり重い病気は生後3か月から6か月頃より目立って多くなってきます。

そのため、これらの病気を予防するヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは、生後2か月になったらすぐに接種しましょう! 

また、最近発売されたロタウイルス胃腸炎に有効なワクチンは生後6週から接種が可能です。

ロタウイルス胃腸炎も患者さんの8割以上が2歳未満のお子さんです。

このワクチンもほかのワクチンとの同時接種が出来ますので、生後2か月の時にヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンと同時に接種されるお子さんも多いです。

このロタウイルス胃腸炎に有効なワクチンは、今年中に2種類のワクチンが接種可能になります。

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予防接種(ポリオ不活化ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど)の講演会にて(3)

前回のブログでは、ポリオ不活化ワクチンの4価のワクチン(ポリオ不活化ワクチンと三種混合ワクチンの混合ワクチンです。合わせて4種類(4価)のワクチンです。)の接種スケジュールについて触れましたが、本日の新聞では厚生省の発表で、単独のポリオ不活化ワクチンの接種スケジュールが示されていましたね。先週の水曜日の講演会でも、新聞報道と同じような予防接種スケジュールの話がありました。

 その時のお話では、「経口の(飲む)ポリオワクチンからポリオ不活化ワクチンへの移行期にポリオワクチンは何回接種するか?(案)」と題しまして、ポリオの免疫をつけるだけの予防接種スケジュール(これには、三種混合ワクチンとの組み合わせは考慮されていません)となりますと、以下のような接種スケジュールが組まれます。

 1)経口のポリオワクチンをすでに2回飲んだお子さん

                ・・・追加の接種は不要

2)経口のポリオワクチンを1回飲んだお子さん

                ・・・ポリオ不活化ワクチンを3回接種

3)経口のポリオワクチンを1回も飲んでいないお子さん・・・ポリオ不活化ワクチンを4回接種


そして不活化ポリオワクチンの2回目と最終ワクチン接種との間隔は6ヵ月以上あけることが望ましい、と話されていました。


あと残る問題点としまして挙げられていたのは、定期接種(国の法律で予防接種が行われるもの・・BCG、三種混合、MRワクチンなど)の経口ポリオワクチンからポリオ不活化ワクチンへの切り替えを、一斉に不活化ワクチンに切り替えるか?(一斉切り替え型)。それとも経口のポリオワクチンも残しながら、並行して不活化ワクチンも接種するか?(継続重視型)になります。外国で経口のポリオワクチンから不活化ワクチンに切り替えた国は色々ありますが、国によってそのスケジュールが違い、日本が今後どのような切り替えをするかも気になるところです。

予防接種(不活化ポリオワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど)の講演会にて(1)

昨日、旭川小児科医会主催の講演会が行われ、「予防接種の現状と展望~定期・任意接種と新しいワクチンの動向~」と題して、川崎医科大学小児科学教授の中野先生にお話をして頂きました。

 種々のワクチンについての内容でしたが、特に最近のトピックスとしては、不活化ポリオワクチンの情報を述べられていました。会場は小児科医、内科医、看護士、自治体関係者などで70人以上の方が出席され、皆さんの関心の高さが表れていました。

 不活化ポリオワクチンについては、先生のお話では、今月下旬にでも厚生労働省から、今年の秋のポリオワクチンの接種に向けて、不活化ポリオワクチンを開始する具体的な時期や、ワクチン接種スケジュールの決定があるようです。

 ほとんどの自治体では、春と秋の2回に集団もしくは個別にポリオワクチンを接種していますので、今年の春はもう間に合いませんが、秋には間に合うようにワクチンの認可が進んでいるようです

ここで問題になりますのが、今までの飲むポリオワクチンをどの程度接種しているかによって、秋のワクチン接種スケジュールが変わってきます

例えば、試案として決定ではないですが!飲むポリオワクチンを既に2回接種しているお子さんは、もう不活化ポリオワクチンを接種しなくても良いか?とか、1回だけ飲むポリオワクチンを接種したお子さんは、不活化ポリオワクチンをこれから3回接種し2回目と3回目の間隔は6か月以上空けることにするか?とか、今までにポリオワクチンを飲んでいないお子さんは、不活化ポリオワクチンを4回接種するか? などの様々な場合を想定して、ワクチン接種のスケジュールを考えなければならず、この事は今までのワクチン接種には無かった事ですので、保護者の方への説明とご理解がかなり必要でないかと感じられました。

 

 

さらに今回の不活化ポリオワクチンで認可されて発売されるのは、1種類だけではなく数種類のワクチンが認可・発売される予定ですので、これらを踏まえたワクチン接種のスケジュールの立て方が必要になります。この点につきましては、次回のブログにて触れたいと思います。

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カゼのお子さんの少ないこの時期に、予防接種を進めましょう

新年度が始まりまして、約1週間が過ぎようとしています。あれほど流行っていたインフルエンザも、最近の外来ではほとんど見かけなくなり、カゼなどで受診する方もめっきり減ってきているようです。


代わりに、予防接種で受診される方はここ2~3週間くらい多くなってきています。新年度に入りまして、保育所や幼稚園、学校などに新年度用のMRワクチン(はしか・風疹ワクチン)などのワクチンの案内が届き出していることが理由かもしれませんが、とても良いことですね。


ワクチン接種は、時間のある時や状態の良い時に、そのうちそのうち接種しようと思っていると、意外に接種する機会を逃してしまうものです。「思い立ったら吉日」ではないですが、このカゼの少ない比較的混雑していない外来の時期に、是非お子さまのワクチン接種を進めてあげて下さい


当院では、MRワクチン、三種混合(DPT)ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、水ぼうそうワクチン、おたふくかぜワクチン、ロタウイルスワクチン、子宮頸がんワクチン、インフルエンザワクチンのみならず、B型肝炎ワクチン、A型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、狂犬病ワクチンなども接種していますので、詳しくはスタッフまでご質問下さい。


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今週は、ワクチン接種の方が多くなってきています


 今週に入り、ワクチン接種の方が多くなってきました。


特に目立ちますのが、MRワクチン(はしか・風疹ワクチン)子宮頸がんワクチンワクチンです。

MRワクチンに関しましては、再三このブログでも触れていますが、今週で今年度が終了してしまいますので、対象年齢の6の方や、中学校1年生高校3年生の方が、年度内(3月末ですので、今週中ですね)にこのワクチンを接種しないと、来週以降は有料になってしまうためかと思います。


そのため、旭川市や近隣町村では、対象年齢の方にハガキなどで連絡して、ワクチン接種を促しているようですね。

子宮頸がんワクチンは、一時対象年齢以外の方で中止になりましたが、その後の再開による時期的なこともあるようです。

そろそろインフルエンザも終息してきていますので、今一t_01.gifのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像お子さんのワクチンの接種状況を確認してみてください。

インフルエンザも、ようやく流行が過ぎようとしています

今週に入り、ようやくA型インフルエンザも、B型インフルエンザもだいぶ流行が下火になってきましたが、この間に所用のために5日間休診をしてしまい、皆様には大変ご迷惑をお掛け致しまして申し訳ありませんでした。

本日より、通常どおり診療いたしますので、宜しくお願いいたします。


インフルエンザの流行が過ぎようとしてきているのは、少し安心出来ることなのですが、この季節はすぐに冷え込んだり暑くなったりしますので、やはり手洗い・うがいなどをしっかりして規則正しい生活でカゼをしっかり予防してください。

それと、麻疹・風疹ワクチン(いわゆるMRワクチン、または二混ワクチン)についての重要なお知らせです。


幼稚園・保育園児の年長さん(ほぼ6歳の方)、中学校1年生の方、高校3年生の方は、このワクチンを無料で接種することができるのですが、その期間は今月中なのです。あと2週間ほどしかありません。この期間を過ぎますと、以後は有料になりますので、この年齢のお子さんがいらっしゃる保護者の方は、もう一度このMRワクチンを接種しているかどうか、確認してみてくださいね。




インフルエンザも流行っていますが、落ち着いたら是非MRワクチンの接種をしましょう

旭川では2月よりインフルエンザが流行って来ていますが、前半はA型インフルエンザが多かったのですが、先週頃よりB型インフルエンザが多くなってきました。

全体としてみるとピークは過ぎたような感じで、もう2~3週間もすればだいたい流行が終わるかと思われます。

ここで、このインフルエンザの流行のために、ワクチンの接種に大きな問題が出てきています。何かというとMR(はしか・風疹)ワクチンの接種についてです。MRワクチンは、生後1歳と、小学校に入る前の年長さんの6歳と、中学校1年生と、高校3年生で接種することになっています。


この中学校1年生と高校3年生で接種する方法は、来年の3月までですが、現在3月での中学校1年生と高校3年生のお子様にとっては、今月中に接種しなければならない制度になっています。これを過ぎて4月からMRワクチンを接種しようとすると、有料になってしまうのです。
この中学校1年生と3年生の今までの接種状況は、70%前後ということで、約3人に一人はまだ接種していません。この学年の、まだMRワクチンを接種していないお子様にとっては、無料でMRワクチンを接種できる期間は今月中なので、あと4週間足らずです。

インフルエンザの流行が下火になってきたら、直ぐにでもMRワクチンを接種させてください




「ワクチンに関する最近の話題」の講演会:その2

前回のブログでお話しました、札幌市立大学看護学部特任教授の冨樫先生の講演会では、乳児期早期のワクチンロタウイルスワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン)の必要性以外にも、いくつかのトピックを話されていました。


まず、最近増加している成人の百日咳についてです。百日咳のワクチンは最終が

三種混合ワクチンの追加の時期ですので、大体は2~3歳で終了してしまいます。


そのため、その後の予防が出来ていないため成人になって百日咳に罹りやすくなります(日本では百日咳の患者さんの3分の1以上は15歳以上です)。

この予防として、小学校6年生の時に行う2種混合ワクチンジフテリアと破傷風)に百日咳のワクチンを追加して混合することが検討されています。

このワクチンはアメリカなどでは既に行われており、これからは日本でも、小学校6年生の時に行う2種混合に百日咳のワクチンが追加され、新しい3種混合ワクチンになってゆくことでしょう。


2番目には、今まで任意接種(接種するかしないかは保護者の方の自由選択であり、自費のため無料にならないワクチン)でおこなわれてきたワクチンでも定期化(法律でワクチンの接種を決め、無料化になりやすいワクチン)した方が良いワクチンについて話されていました。

その定期化した方が良ワクチンには、水ぼうそう、おたふくかぜ、B型肝炎、ロタ胃腸炎などを挙げていました。

我々小児科医にとっても、これらのワクチンが早く定期化され、無料になって全員のお子様に接種できるようになる社会作りが必要ですね。


B型肝炎ワクチンについては、あまり聞きなれない方もいらっしゃいますがB型肝炎は進行すると、一部の方が肝硬変や肝ガンになりますので、ある意味ガンを予防できる最初のワクチンといえます。

このウイルスはお母さんから移る母子感染が大きな問題になり、産婦人科医や小児科医の努力により、徐々に接種する方も多くなってきていますが、このワクチンも早く定期化されるようになると良いですね。


冨樫先生はまとめとして、「お子さんがお母さんのお腹の中にいる間に、お母さんからもらう免疫(移行抗体と呼ばれます)は、生まれてからの赤ちゃんでは、細菌に対する抗体は生後2~3か月で、ウイルスに対する抗体は生後5~12か月で無くなってしまうので、この抗体が無くなったあとはワクチンでしっかりと免疫を付けることが大事」とおっしゃっていました。

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「ワクチンに関する最近の話題」の講演会

去る2月10日(金)に、旭川で道北産婦人科医会の講演会が開催されました。

題名は、産婦人科医会にしては珍しく、ワクチンに関する話題で、札幌市立大学看護学部の特任教授でいらっしゃいます冨樫先生という小児科の先生でした。


なぜ、産婦人科医の会に小児科の先生が講演されるかというと、生後1~2ヶ月からでも接種したほうが良いワクチンがどんどん開発されて、日本でも予防できる病気が多くなってきたからです。


そのため、こられのワクチンについて、産婦人科の先生方にもさらに広く、多く理解してもらいたいからに他なりません。

具体的には、生後6週から始められるロタウイルスの胃腸炎に対するワクチンや、もう多くの方がご存知のヒブワクチン肺炎球菌ワクチンのお話がありました。


また、まだ接種できませんが今年の秋にも日本で開発されて接種できるようになる不活化ポリオワクチンについても話されていました。


これらのワクチンは、赤ちゃんが生まれてからはもちろん、出来れば妊娠中のお母さん方にも知っていてもらいたいワクチンなので、産婦人科の先生方の関心を持ってもらうことが必要なのです。

会に参加された産婦人科の先生からは、「今後も早い時期の赤ちゃんに必要なワクチンの情報を、どんどんお母さん方に提供してゆきたい」とのコメントもあり、私たち小児科医にとっても有意義な講演会でした。

 

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「地域医療と予防接種~ワクチンがもたらす恩恵~」のセミナーに出席して:その3

2月4日(土)のセミナーの後半のパネルディスカッションでは、前出の渡辺先生と山口先生に加えて、札幌のすえおかこどもクリニック院長の末岡先生も「定期接種の現状と課題」と題して講演されました。

日本の定期接種は、現在はBCG、ポリオ(生ワクチン)、三種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風)、MRワクチン(はしか、風疹)、日本脳炎(北海道以外の地域)だけで、進国の諸外国に比べてかなりワクチンの接種の回数も種類も少ないことを問題点として挙げられていました。


他の先進国では、日本では任意接種(この"任意"という言葉も、小児にとって必要なワクチンであるにも関わらず、接種に消極的なニュアンスがあるので、好ましくないとのコメントです)になっている水ぼうそうワクチンやおたふくかぜワクチン、B型肝炎ワクチンなども全員が接種するようになっていますし、

はしか・風疹・水ぼうそう・おたふくかぜの4種類のワクチンも小児の間に2回接種するなど、日本とは比較にならないほど多数のワクチンを小児の間に接種して、ワクチンで予防できる病気はしっかりと予防してゆくような政策が、未来ある子供たちを守るためにその国の政府の責任として取られています。


日本でも早く、このようなワクチンで予防できる病気が、国の予算をしっかりと組んで、国民の全員が無料で接種出来るようにして、ポリオのように無くなる病気になるように、皆さんで頑張って発言して、行動して、子供たちのために明るい未来にしてゆきたいですね。

 

「地域医療と予防接種~ワクチンがもたらす恩恵~」のセミナーに出席して:その2

2月4日(土)のセミナーの後半のパネルディスカッション「当地域における予防接種の実際」では、前出の渡辺先生の他に、北海道保健福祉部健康安全局参事の山口先生の講演もありました。
 

山口先生のお話「ワクチン接種促進事業の取り組みについて」では、現在推奨されているワクチンの回数は、昔に比べてかなり多くなっており、

定期接種マシン風疹ワクチンや、三種混合ワクチンポリオワクチンBCGなど)と,

任意接種ヒブワクチン肺炎球菌ワクチン水ぼうそうワクチンおたふくかぜワクチンなど)の両方を合わせると、小学校入学前に行う予防接種はなんと40回も!接種しなければならないということです。


 これでは、1回1回を単独のワクチンで行うにはかなりスケジュール的に無理があり、やはり適切にワクチン接種を進めるには、同時接種を行う必要があるとのことです。

 また、近い将来で気をつけなければならないワクチン接種の事情として、


1) 麻疹・風疹ワクチンの3期と4期中学生と高校生で接種します)の接種で、公費負担で無料になる時期が平成23年度分は3月末までです。そして1月現在の中学1年生と高校3年生の、このワクチンの接種率はあと2か月しかないにもかかわらず、北海道全体ではまだ60%前後であることを危惧していました。


 つまり、まだ接種していないために、今後このワクチンを接種する場合には有料になってしまう中学1年生と高校3生の生徒が約3人に1人以上残っているということでした。そのため、早急にこの事情を広く知らせるために、全道のセブン・イレブンにお願いして、店頭に「早くワクチンを受けましょう!」というポスターを貼ってもらうようにしたとの事です。



2) ポリオワクチンに関しては、現在不活化ワクチン(注射のワクチン)の開始が望まれていますが、来年の秋くらいにはこの不活化ポリオワクチンの接種が開始される予定だそうです。

この時には、既に三種混合ワクチンの接種が済んでいるお子さん用にポリオ単独のワクチンと、三種混合ワクチンを接種していないお子さん用に四価(三種混合とポリオを合わせた四種類の混合ワクチン)ワクチンが接種できるようです

しかしながら既にこのワクチンを接種するまで現在の生ワクチン(飲むワクチン)の接種を控えようとする傾向があり、

昨年はポリオワクチンの接種率が前年度に比べて20%近く下がっているために、もし外国からポリオという病気が入ってきたら、大きな流行を起こす危険性が出てきているとのことです。


3)国の予算の関係で、現在は今年の3月まで無料になっている、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンが来年度も無料で接種できるように、一年間の無料化の延長が決まったそうですので、現在接種する人がやや少なくなってきて、対象者の75%ほどしか接種していない子宮頸がんワクチンの接種も、今後接種する人が増加することが期待できるというお話でした。



「地域医療と予防接種~ワクチンがもたらす恩恵~」のセミナーに出席してきて:その1

2月4日(土)に札幌で開催されました、「地域医療と予防接種~ワクチンがもたらす恩恵~」のセミナーに出席してきました。外来診療の終了が遅くなってしまい、講演の(2)及び、パネルディスカッションからの参加でしたが、大変実りあるセミナーでした。


 色々と勉強になるセミナーでしたが、中でもパネルディスカッション「当地域における予防接種の実際」で講演されました、わたなべ小児科・アレルギー科クリニック院長の渡辺先生のお話の中で、

1)「生後2か月からのワクチン接種開始の重要性」と題して、生後3か月時にDPT接種という従来の常識を、生後2か月時にワクチン接種のために小児科を受診するよう啓蒙・誘導する必要がある。と述べられていた事や

2)今後解決すべき問題点」と題して、生後2か月からの同時接種を常識とする市民への啓蒙活動や、

生後2か月から接種を開始するために妊婦や、産婦人科医師、助産師、保健師、看護師への啓蒙活動と、出生時の母親教室時・1か月検診時・乳児全戸訪問時にワクチン接種の指導が必要である。と述べられていた事は、非常に共感する提言でした。

私自身も同様の意見でしたので、産婦人科医と小児科医との連携が重要と考え、全体のディスカッションの時に渡辺先生に、「札幌市においては、ワクチン等の事業における小児科医会と産婦人科医会との連携はどのようになされていらっしゃるのか?」と、質問させて頂きましたところ、渡辺先生から「小児科医会と産婦人科医会との連携は非常に重要であり、現在両科の会長による懇談が進行中である。」旨のご発言がありました。

旭川でも同様に産婦人科医や自治体などの行政と、小児科医会との連携をさらに深めてゆくことが重要と、改めて強く認識しました。

 来週の金曜日の2月10日には、旭川で今回のパネルディスカッションで司会をされました、札幌市立大学看護学部教授の冨樫先生によるワクチンの講演会が開催されますので、その会でも実りあるお話が伺えることと期待しつつ、聴講が楽しみです。

ロタウイルス胃腸炎とロタウイルスワクチン

週の水曜日(1月25日)に、旭川でロタウイルス胃腸炎とそれに対するワクチンの講演会がありました。講演していただいた先生は、札幌医科大学小児科学教授の 堤先生です。


前半はロタウイルスによる胃腸炎のお話です。

ロタウイルスによる胃腸炎は、脱水症状などで重症化しやすく、札幌の乳児院では入院する胃腸炎の40%以上がロタウイルスによる胃腸炎だそうです

(ちなみにノロウイルスによる胃腸炎は12%と、ロタウイルスの3分の1以下だそうです)。

世界中では年間に約240万人のお子さんが入院し、治療のかいなく60万人以上のお子さんが亡くなる病気で、ロタウイルスによる胃腸炎は下痢と脱水・発熱でウイルス性胃腸炎の中でも重症感が強い胃腸炎です。


ロタウイルスが体内に入り込むことにより、小腸と呼ばれるところの細胞が壊され、消化物の中の水分を体内に吸収する力が弱まるために、ひどい水下痢になります。

また下痢や脱水だけではなく、脳症と呼ばれる重症の脳の病気も合併することもあり、お子さんの脳症の原因ではインフルエンザなどに次いで3番目に多い病気でもあります。

治療は、とにかく脱水を防ぐために、どんどん電解質と呼ばれるものが入っている水分を、口からや点滴などでお子さんの体内に入れることにつきます。あまり水分が取れない場合は、やむを得ず入院して数日間点滴をして治すこともあります。



後半は、昨年の秋に発売された、ロタウイルス対するワクチン(商品名:ロタリックス)についてのお話です。

ロタウイルスによる胃腸炎は、メキシコの統計では、2歳までに96%のお子さんがかかりますが、その70%は無症状で、2度かかるお子さんは70%くらい、3度かかるお子さんは40%位もいるそうですが、回数を重ねるたびにだんだんと症状が軽くなってゆくことが分かりました。

そのため、実際にロタウイルス胃腸炎にかかる前に、ワクチンで免疫をつけておくと、実際にかかった時には軽くすみ、入院するお子さんの割合が9割以上もなくなります。

このワクチンは、生後6週から24週までの間に飲むワクチンです。

ただしこのワクチンを飲むと、その後4週間はほかのワクチンを受けることが出来ないので、ワクチンの接種スケジュールを組むのが大変ですが、組み合わせ次第で、ほかのワクチン(三種混合ワクチンやヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン)と一緒に同時接種ができますので、どのようなスケジュールを組むのが良いか、いろいろと小児科で相談されてみると良いでしょう。

このワクチンは、まだ公費助成がありませんので、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンと違って、有料になります。


このワクチンも小さなお子さんにとっては大切なワクチンですので、早く都道府県や市町村の方針で、ワクチンの無料化がされると良いですね。



ロタウイルス胃腸炎予防の、新しいワクチン(商品名:ロタリックス内服液)について

幼児の胃腸炎の最大の原因はウイルス性胃腸炎すが、その中でも最も頻度が多くかつ重症になりやすいものが、ロタウイルス胃腸炎です。この胃腸炎は、世界中のほぼ全員が5歳までに一度はかかるといわれるくらい頻度の多い病気です。

日、院内でこのロタウイルス胃腸炎に予防効果があるワクチン(商品名:ロタリックス内服液)についての説明会がありました。

このワクチンは、海外では数年前から接種が行われており、120か国以上の国々で接種されていますが、日本でもやっと接種できるようになり、11月中旬に発売予定です。

接種方法は、後6週(生後1か月半)から生後24週(生後6か月)までの間に、4週間以上の間隔をあけて2回接種します。このワクチンは内服液ですので、お注射ではなくポリオワクチンのように飲むワクチンです。
BCGやポリオのワクチンの接種からは4週間以上、b型インフルエンザ菌ワクチンや、肺炎球菌ワクチン、3種混合ワクチンの接種からは1週間以上空けばこのワクチンを飲ませることが出来ます。

副反応として目立ったものはなく、ぐずりが7%、下痢が3%などです。

このクチンは、公費負担のある上記のワクチンと違い、接種費用は自費になりますが、現在のところ接種費用がどのくらいかは未定す。参考として海外では100ドル(日本円にして8000円くらい?)程度だそうです。

ロタウイルス胃腸炎は、毎年冬から春にかけて流行しますが、この流行に間に合うように発売されることになり、小さな赤ちゃんには朗報です。願わくば、高価なワクチンですので、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンのように、公費負担で無料になることができると良いですね。

1才くらいに受ける予防接種〜おたふくかぜと水ぼうそう

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おたふく風邪は1才を過ぎてから1回接種します。1才代のころに感染することは少ないのですが、年をとるにつれて、症状が重くなっていきます。1回で十分な免疫がつきますから、2~3才までには、受けておくといいでしよう。
 
水疱瘡は1才以上で1回接種します。健康な子どもは、水ぼうそうにかかっても症状が軽いことが多いのであわてる必要はありませんが、しっかり小児科での察を受けましょう。ママからもらった抗体が切れる1才を過ぎてから、受けるといいでしょう。

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