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2013年1月 Archive

インフルエンザの治療について(抗インフルエンザ薬以外のお薬について:2と、 家庭での対処法)


 前回のブログでは、インフルエンザの治療で使われる抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)以外のお薬の中で、解熱剤についてお話いたしましたが、それに引き続きまして今回はインフルエンザが発症した後に出てくる咳や鼻水、下痢などの症状に対するお薬についてのお話です。

 インフルエンザウイルスは最初に鼻やのどの粘膜に付着して、その後身体の中に侵入してゆきます。そのため咳やのどの痛み、鼻水、痰のからみなどの症状が多くの方に出てきます。ひどければ気管支炎や肺炎も合併し、気管支喘息の方は喘息発作も起こしやすくなりますので気を付けなければなりません。これらの症状がひどい時には、痰切れの薬や鼻水の薬、痛み止めの薬を使用した方が良いでしょうね。咳や鼻水などの症状はのどの粘膜の炎症がひどければ、解熱後でも1週間前後も続くこともありますし、もちろん熱がひどい急性期の時には咳や呼吸困難で安眠できなかったり、体力を消耗することがありますので、適切にこれらのお薬を使用することが大事になります。

 また下痢や吐き気、腹痛などの胃腸炎症状も出てくることもありますので、吐き気止めや整腸剤、腹痛に対する痛み止めなども使用することもあります。

以上がインフルエンザに罹ったときに使用されるお薬の主なものですが、やはり一番大事なのはのどや鼻の粘膜を保護して、脱水を防ぐことです。お薬を用いる以外にご家庭での対処方法としては、脱水用の補水液(OS-1やアクアサーナ、ポカリスエットなど)やスープやお味噌汁、果汁などの水分を十分に(いつもの2倍くらい!)飲むことです。暇さえあれば常に水分を取るような心構えが必要です。また体力の低下を防ぐために消化の良い、栄養価の高い食物を食べるようにすることも大事ですね。またのどや鼻の粘膜を保護するためには、加湿器の使用や湿ったバスタオルを干すなどして部屋の湿度を出来るだけ上げるようにしましょう。のどの粘膜の保護にもなりますしインフルエンザウイルスの増殖も抑える効果もあります。さらにマスクをすることも他人への感染を低下させるだけではなく、マスク内の過湿された空気を吸うことによってご自身ののどの粘膜の保護にもなって一石二鳥の効果が有ります。

次回は、インフルエンザが治った後はどのくらいの期間で学校や幼稚園・保育園、そして職場に復帰・登校・登園できるかについてお話ししたいと思います。


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インフルエンザの治療について(抗インフルエンザ薬以外のおくすりについて:1)

 前回のブログでは、インフルエンザの治療に使われるお薬の中で、皆さんが良くご存じのタミフルリレンザなどのインフルエンザウイルスに効く抗ウイルス薬のお薬についてお話しいたしました。これらのお薬は通常5日間くらい発熱が持続するインフルエンザに使用すると、その発熱の期間が2~3日間短縮でき、その結果色々な症状が軽くすむインフルエンザに有効なお薬です。今回はそれ以外のお薬や治療についてお話しいたします。

インフルエンザは通常のカゼと違い、高熱が続いたり、咳や鼻水がひどくなったり、倦怠感で食欲が落ち脱水気味なったりしますので、抗ウイルス薬で治療を開始しても、感染の拡大防止と体力の回復のために5日間以上の自宅安静が必要です。そして安静期間中は消化のよい食べ物や水分を多めに取り脱水や体力低下を防ぐようにし、発熱や咳・鼻水、下痢などの症状に対するお薬なども併用してゆきます。

インフルエンザは高熱が持続しますし、熱が高いほど身体のダメージが強くなりますので、解熱剤は適時使用したほうがよろしいでしょうね。ただし解熱剤の中にはインフルエンザの時には使うと危険な解熱剤が有ります(商品名:ポンタール、ボルタレンなど)ので、安全な解熱剤を使用してください(アンヒバ、カロナール、コカールなど)。

また苦味が有るためにお子様には服用しづらいのですが、漢方薬の麻黄湯(まおうとう)は解熱効果も高いですし、最近の研究では体内のインフルエンザウイルスの減少にも効果があるようですので、時々使用されるお薬です。特に1才以下のお子様ではタミフル、リレンザ、イナビルなどの抗インフルエンザ薬は使えないことが多いので、この年齢のお子様には麻黄湯が使用されるケースが多いようです。解熱効果はタミフルなどと差が無いとの報告も出てきていますので、これからは小さなお子様にも使用するケースが多くなるでしょうね.




インフルエンザの治療について

 旭川では日増しにインフルエンザ(現在の流行はA型インフルエンザです)の流行が拡大し、学級閉鎖の小・中学校も多くなってきています。

 小児科の外来でも高熱の方が多く、検査の結果インフルエンザと診断され、抗ウイルス薬というお薬でインフルエンザの治療を行っています。

 インフルエンザの治療薬として使われる、インフルエンザウイルスに有効な抗ウイルス薬は何種類かありますが、大きく分けて3種類の投薬方法が有ります

1番目は一番多く使用されている内服薬(飲む薬)で、商品名は「タミフル」というお薬です。このお薬は原則として1歳以上の方なら使用できますが、異常行動などの事情から10歳代では使用が控えるように指示されているお薬です。粉薬のタイプとカプセルが有りますが体重によって使い分けられます。使い方は診断後なるべく早くに1日2回、5日間服用します。

2番目は吸入のお薬(粉末を吸い込むお薬)で、使用回数が違う2種類のお薬が有ります。1日2回、5日間(計10回吸入します)吸入する「リレンザ」というお薬と、1日1回、1日間(最初の吸入だけで終了します)吸入する「イナビル」というお薬です。どちらも余り小さなお子様では吸入のやり方が難しいので、使用できないようです。また「イナビル」は1回きりの吸入ですので、確かに回数が少なくて簡単なのですが、最初の吸入がうまくできないと効果も少ないためしっかり吸入が出来る年長児以上のお子さんで使用するほうが良いとの意見もありますので、お子さんの年齢や吸入手技の出来方などで判断して処方することが有ります。

3番目は2年前くらいから発売されています新しい点滴のお薬で、「ラピアクタ」というお薬です。このお薬は1歳以下の小さなお子様から成人の方まで体重に合わせて使用する事が出来ます。1回の点滴で20分から30分くらいかかりますが、この1回の点滴でインフルエンザウイルスに対する治療は終了です。ただ点滴などの処置を必要としたりしますので、主にインフルエンザで重症感が有り水分が取れなくて脱水気味で点滴が必要であったり、入院などの処置を必要とするお子様に使用されることが多いようです。

次回は、この抗ウイルス薬以外でインフルエンザの治療に用いられるお薬についてお話しいたします。

そろそろインフルエンザで、学級閉鎖になる学校も報告されてきています


 前回のブログでは、1月14日の祝日救急当番医でのインフルエンザの流行状況についてお話しいたしましたが、その後に小学校や中学校の3学期が始まりました。その結果今週の旭川市医師会の報告では小学校で4校、中学校で1校にインフルエンザ様疾患(インフルエンザ並びにインフルエンザ疑い)で欠席者が多くなり、学級閉鎖になっているようです。連休中に職場内や家族内でインフルエンザが流行りだしてきていて、学校が始まると同時に一気に流行が拡大しているようです。

例年ではインフルエンザの流行は、旭川では1月下旬から始まり、2月上旬の冬祭りの時期に流行が拡大していくのですが、今年はインフルエンザの流行の時期が少し早いようです。

 インフルエンザワクチンを接種していても油断はできません。ワクチンでは肺炎などの重症化を防ぐ効果は有りますが、接種したからといってインフルエンザにかからないわけではありませんので、この時期はインフルエンザの感染対策をしっかりとしてください。

 特に保育所、幼稚園、小学校、中学校などの集団生活で、流行が一気に拡大してゆきます。高熱、関節痛、倦怠感などの症状が出たら、病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

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 旭川でもインフルエンザ(A型)が流行りだしてきました!

昨日は連休最後の締めで、午前9時から午後6時までの救急当番医を担当しました。

受診された方は全体で124名と、受診者数はそれほど多くはありませんでしたが、なんとそのうちの約4分の1の方(29名)でインフルエンザA型が陽性に出ていました!

 発熱して間もないため検査はしなかった方もいらっしゃいましたが、疑わしい方も含めるとそれ以上の方がインフルエンザにかかっている可能性もあるような救急外来でした。

 
明日から学校も始まりますのでさらに流行が拡大されることも予想されます。

あまり人ごみに出ないよう不要な外出は避ける事、手洗いうがいをしっかりする事、マスク着用などでのどの粘膜を保護する事、栄養と睡眠を十分にとるように心がけましょう!

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感染症(百日咳、マイコプラズマ、インフルエンザ)のシンポジウムにて:2

前回は百日咳マイコプラズマ感染症についてのお話でしたが、今回はそろそろ旭川でも流行りだしてきましたインフルエンザについての新しいお話です。

 一つ目はタミフルリレンザなどのインフルエンザウイルスに効くお薬についてです。

これらのお薬はインフルエンザウイルスが体内で増えるのを抑えるお薬で、その結果として熱が早く下がりインフルエンザの重症度も改善させる良いお薬ですが、

最近の研究によりますとこれらのお薬を早期に使用しすぐに解熱して軽くすんだ方は、血液の中のインフルエンザに対する免疫の反応が弱く

場合によっては再度インフルエンザにかかりやすいという研究結果が出てきています。

今後もタミフル、リレンザなどのインフルエンザのお薬は同じように使用される傾向が続くと思いますので、気をつけなければならない報告と言えそうです。

 

二つ目はインフルエンザのワクチンについてのお話です。

現在皆さんが接種しているインフルエンザワクチンは、血液中の免疫は付きますが粘膜中の免疫は付きません。

そのため血液中にウイルスが入って肺炎などでインフルエンザが重症化することを防ぐにはある程度効果が有りますが、インフルエンザウイルスが体内侵入の窓口になっているノドや鼻の粘膜ではウイルスの侵入を防ぐことができないため、

インフルエンザにかかることが有ります。今回のお話ではこの粘膜の免疫を付けるために開発された新しい経鼻接種(鼻の中にワクチンの液体を噴霧する)ワクチンの効果についての話題でした。

今までの皮下に注射するワクチンに比べ粘膜の免疫も付くためにインフルエンザにかかる割合もかなり少なくできる効果が有りそうです。

今後は副作用についての検討が必要だそうですが、早くこのようなワクチンが使用されるようになると良いですね。

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感染症(百日咳、マイコプラズマ、インフルエンザ)のシンポジウムにて:1

 一昨日の土曜日(1月5日)は、東京でのシンポジウムのために外来を少し早めに終了させていただきました。このシンポジウムでは百日咳マイコプラズマ感染症インフルエンザ感染症などのお話がありました。 

 1)百日咳は最近では子どものみならず成人の方の報告も多くなり、家族内の感染や学校内・職場内の感染も重要な問題になって来ています。子どもさんでも成人の方でも百日咳の診断は意外と難しいものですが、一番の決め手はやはり家族や学校など周囲の方に同じような長引く咳の症状の方がいらっしゃるかどうかです。このような環境で2~3週間以上咳が続く場合は要注意になりますので、単なる風邪かなと思わないで医師の診断をしっかりと受けてください。最近ではこの病気のスタンダードな検査も改善され、抗体価(百日咳毒素の抗体を調べます)などの血液検査を用いて診断を確定してゆくことも多くなりました。

 2)マイコプラズマ感染症も昨年は旭川でもかなり流行し、気管支炎や肺炎にまで至るお子さんもかなりいらっしゃいましたし、今年に入っても例年以上に肺炎の方も多く、気をつけなければならない病気ですが、最近の話題はやはり家族内や学校などの集団内の感染と、抗生物質に効かない(耐性と言います)マイコプラズマ肺炎が多くなってきていることですね。成人ではこの耐性のマイコプラズマ感染症はあまり有りませんが、小児ではこの問題が最近になり大きくクローズアップされてきています。旭川でも今までの抗生物質の効きが悪く肺炎にまでなるお子さんも比較的多く受診されていますので、咳や微熱の続くお子さんは早目に病院を受診されてください。

 次回は、そろそろ流行りだしてきましたインフルエンザについての話題です。

 



明けましておめでとうございます!

  • Posted by: tsuchida
  • 2013年1月 4日 16:44
  • その他

 明けましておめでとうございます。新年を迎えられまして、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 当クリニックも今日から仕事始めです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 旭川も含め北海道は新年から荒れ模様の天候で、皆様大変でしたね。特に3日の金曜日は猛吹雪と豪雪とで鉄道も高速道路も閉鎖になり、旭川は文字通り陸の孤島となってしまいました。仕事始めや帰省の方も含め、非常に疲れたお正月でしたね。

 さて、今日の今年最初の外来はと言いますと、昨年秋から流行っていましたウイルス性胃腸炎(ほとんどがノロウイルス性胃腸炎かと思われますが)もやや終息気味になり、インフルエンザはまだ流行ってはいませんので、落ち着いた仕事始めでした。

 このまま落ち着いた一年ですと良いですね。

一月の落ち着いたこの時期に予防接種のスケジュールを進めてください。例年ですと学校の始まる1月下旬か2月くらいからはインフルエンザも流行りだしてくるかもしれませんので、気を付けてください。

  インフルエンザが流行りだしてくると、救急医療も酷くなってきますが、ここ数年前から旭川でも小児科医不足のため、小児救急医療体制が崩壊しかかっていることが重要な問題になって来ています。今年はその解決に向けても色々と頑張ってゆかなければならない年になりそうです。


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