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2011年9月 Archive

第21回外来小児科学会に参加してきて(その3)

1日目の夜は、スタッフとともに、日本三大中華街の一つに数え上げられている、神戸の中華街に繰り出して、英気を養ってきました。帰りに立ち寄った中国の衣類や玩具などの小売店では、めいめいが気に入ったものやお土産などを購入し、明日の学会に備えるべく、 ホテルの帰路につきました。


さて、学会2日目の日曜日は、旭川へ帰る時間の都合もあり、午前中の参加だけでしたが、参加したワークショップである、23「小児気管支喘息について調査研究方法を検討する」では、題材に挙げられた小児気管支喘息の治療薬の研究論文を参加者全員で、吟味いたしました。

対象となる患者さんの選択は適切か?重症度が偏りすぎてはいないか?統計的に有効性は確かめられるものの、それが臨床的にどのくらいの意味合いを持つものなのか?


などの討論や、これらを踏まえた小児気管支喘息の診断や治療の方法などについても話し合いました。

また、「EBMを活用した論文の読み方」にも触れ、エビデンス(根拠となる論文)の探し方や、見つかったエビデンスを吟味する論文の読み方の講義も受けました。

 

最後に、小児の喘息やアレルギー、免疫に関する国際的な雑誌に、本学会員が投稿し、受理された論文にも触れました(「喘息既往のある幼児における、風車玩具を用いた聴診の用性」)。

これは、当院でも診察時に行っていますが、気管支喘息の患者さんの診察時に強制呼気(風車などの玩具で、思いっきり息を吹かせること)を行うと、喘息の診断率が上がり、隠れている(喘息と診断されず、単なる風邪と思われている)小児喘息の方への治療効果が上がるというものです。

実は、別に行われた内科の喘息の講演会でも、内科の喘息の専門家が、成人でも診察時にしっかりと息を吐かせることにより、長期にわたる咳の患者さんで、診断されていない喘息が見つかることが多い。と講演していたことと一致していますので、大人でも子供でも共通する診断手技が有用であった、興味深いワークショップでした。

 

参加したスタッフも、全国での小児科に携わる専門家の集まりでの、討論や情報交換、ワークショップなどに参加して、小児医療への意欲も一段と上がったようです。

来年は、横浜での開催になりますので、さらにやる気が出てくることでしょう・・・



第21回日本外来小児科学会に参加してきて(その2)

第21回日本外来小児科学会に参加してきて(その2)

 

1日目の午後の部門では、「何に気づき、どのように学ぶか」というシンポジウムを聞いてきました。


1番目の演題では、「総合小児科医を育てる」と題して、国立成育医療研究センター総合診療部の阪井医師から、人の能力は、一定の容積を持つものではなく、もっと柔軟性のあるもので、固定された観念を持つのではなく、様々の視点で見てゆくことが必要であること。

また、その人がどんな病気になっているのかということが重要ではなく、どんな人が病気になっているのかを考えることが重要であるということ。

そして生理学の重要性を話されていました。


2番目の演題では、「外来診療の質の向上のために」と題して、東京都の崎山小児科の崎山医師が、小児科医の小児科医による小児科医のための教育を、もっと充実させる必要があり、まれな疾患も適切に診断できる診療技術を持っているか?

日常的に行っている治療は本当に正しいのか?などについて、同僚評価する教育が求められていると講演され、まれではあるが、見逃してはいけない病気として、


し・・・・・・心筋炎、心筋症など

の・・・・・・脳炎、脳症など

あ・・・・・・アッペ(虫垂炎(俗にいう盲腸)

い・・・・・・イレウス(腸閉塞)

ず・・・・・・髄膜炎

に・・・・・・妊娠

がい・・・・・喉頭蓋炎(細菌性クループ)

とう・・・・・糖尿病

を指摘していました。


3番目の演題では、「小児科外来看護の気づきと工夫、そして発展のために」と題して、兵庫県のくまがいこどもクリニックの朝賀看護師が、診療の効率化と患者さんの満足のために何ができるかを小児科外来看護師の立場から考え実践してきたことを紹介されました。

具体的には、新人教育のマニュアル作成が新人看護師のためだけではなく、看護師全体の業務の統一が図られ、看護師間での意思疎通がスムーズになったこと。

看護師の視点にもとづいた病気やホームケアのリーフレットを作成し、保護者へのケアの説明時間の短縮と、看護の質の均一化が図られたことを話されていました。

 

この後は、慰労会として、神戸の中華街にスタッフ皆で繰り出して、翌日の英気を養ったことは言うまでもありませんが・・・・・(翌日のお話は、(その3)に続きます)

第21回日本外来小児科学会に参加してきて (その1)

8月27日・28日の両日、神戸で行われました、日本外来小児科学会に参加してきました。


全国から小児科関係の医師だけではなく、一緒に働いている、看護師さんや医療事務員さん、保育士さん、薬剤師さんなどが集まり、楽しくそして一所懸命勉強してきました。

当クリニックの看護師並びに事務員のスタッフも一緒に参加してきましたので、その成果はこれから順次、スタッフブログなどでお披露目して行きたいと思います。


私の方は、1日目の午前中は、「日常診療での臨床判断」というワークショップに参加してきました。

発熱のお子さんの事例を紹介し、その診断と治療について、20名前後の参加者がそれぞれの意見を述べ合い、明日からの日々の診療に役立てようというものです。

発熱の原因は何なのか?そのための診断手技はどうするか?診断後の治療薬はどうするか?今後の保護者の方へのアドバイスはどのようにしていったらよいか?などについて、熱く討論し合いました。

最近の新しいワクチンについてや、痙攣と抗ヒスタミン薬の使い方など、風邪薬の使い方などについても話題が広がり、約3時間弱の時間ではとても足りないくらいの内容でした。


お昼のランチョンセミナーは、その流れに乗って、「見直しませんか、いわゆる "かぜ薬"」を聞いてきました。
咳の出る成り立ちから、鼻水の薬の功罪、咳止めや痰切れの薬の使い方などについて、今までとは違った観点での講演内容で、とても興味深かったでした。


午後からのお話は、(その2)で、またご紹介いたしましょう。


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