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2012年8月 Archive

第22回日本外来小児科学会にて(その2):いろいろなワクチンについて・・・「最適なワクチンスケジュールを立てるために」


 1日目のランチョンセミナーの講演では、千葉大学の石和田稔彦先生が、種々のワクチン(麻しん風しんワクチン、三種混合ワクチン、BCG、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタワクチンなど)について、最近のトピックスと、ワクチンのスケジュールを立てる上での注意事項についてお話していただきました。


感染症予防のワクチン接種のスケジュールを立てるためには、感染症の流行状況や季節性、年齢などを考えてゆく必要があるとのことです。そのため、古い知識ではなく、現代の感染症にあった知識をアップデートして(例えば、成人でも結核や百日咳、風疹が多いこと。水ぼうそうやおたふくは2回接種が必要なこと。新しいワクチン(ロタワクチン、不活化ポリオワクチンなど)です。)


ワクチンには大きく分けて「定期接種:国が責任をもって勧めるワクチンで、無料です。その結果接種率も高くなっています。例:麻しん風疹ワクチン、三種混合ワクチン(百日咳・破傷風・ジフテリア)、BCG、ポリオ(9月からは不活化ポリオ)、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンなど(公費助成も含めています)」
「任意接種:受けたほうが良いワクチンで、有料です。接種率が定期接種に比べて低いです。例:水ぼうそうワクチン、おたふくワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタワクチンなど」
があります。


この両方共にしっかりとワクチン接種を進めるためには、やはり同時接種が必要になってきます。生後最初のワクチンは、生後6週目からロタワクチン(2回ないし3回)が、生後2か月からヒブワクチン(4回)や肺炎球菌ワクチン(4回)が開始でき、その後生後3か月からは三種混合ワクチン(4回)や不活化ポリオワクチン(4回)、B型肝炎ワクチンなどが接種できます。妊娠の時期や出産後の検診などの早い時期から赤ちゃんのワクチンのスケジュールを考えてみてください。


次回は、ワクチンで防げる病気(VPD)の新しいトピックスなどをお話してゆきましょう。

第22回日本外来小児科学会(in 横浜)に参加してきました・・・ワクチン、スキンケア、アレルギーなどの話題で活発な内容でした

 先週の金曜日・土曜日・日曜日にわたって、横浜で開催されました日本外来小児科学会に参加してきました。この学会は小児科のクリニックの医師が主体となり、患者さんへのより身近な、かかりつけ医としての、患者さんの側に立った医療を目指そうという、全国の熱意ある小児科医の集まりの、年に一度の全国的な学会です。そこで話題・議論が行われていることは、明日からすぐにでも、外来に受診して来ていただいているお子様に役立つような知識や治療を活用することを目的にしています。

今年も、当クリニックの看護師や事務員のスタッフも多数参加してきて、その話題や新しい医療知識なども学んできましたので、早速今日からにでも受診されている皆さんにお役に立てるようなお話を、これから何回かにわたってお話してゆきたいと思います。

お話の内容は、新しいワクチンの知識不活化ポリオワクチン、三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンが一緒になった4価ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチン、麻疹風疹ワクチン、水ぼうそうワクチン、おたふくワクチンなどのいろいろなワクチンの効果やワクチン接種のスケジュールの立て方)、アトピーや食物アレルギーなどのアレルギーの病気の対処の仕方、アトピー性皮膚炎や治りづらい湿疹に対するスキンケアの仕方、などなど・・・・

これから、ホームページの院長ブログやスタッフブログで紹介させていただきますので、皆さん楽しみにしていてください!


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昨日は、日曜日の救急当番医でした

  • Posted by: tsuchida
  • 2012年8月20日 10:55
  • 当番医

昨日は旭川市の日曜日救急当番医でしたので、午前9時から午後6時まで診療を行っていましたが、全体では80名くらいで、日曜日の救急当番医の受診者数としてはそれほど多くはありませんでした。ほとんどのお子様がヘルプアンギーナや手足口病などの、夏カゼ症状での突然の高熱で受診されましたが、比較的水分が摂れていた方が多く、点滴などの処置を必要とされた方はあまりいらっしゃいませんでしたね。

夏休みも終わり学校も始まりましたが、もう少し高熱の夏カゼは続きそうな感じですので、脱水に注意して水分をこまめに充分摂るようにしてください。


まだ破傷風とジフテリアの2種混合ワクチンを接種していない方は早めに接種するようにしてください。

また来月から不活化ポリオワクチンの接種も開始されますので、こちらの方のスケジュールもそろそろ立てられる準備が必要ですね。このワクチンは三種混合ワクチン(DPT)や、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなどと同時に接種出来ますので、スケジュールの立て方が難しい方は、遠慮なくスタッフに問い合わせてください。

 


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救急当番医の前日の土曜日は、残り少ない夏の日を楽しんで、旭川近郊の大雪山連峰の主峰の旭岳に行ってきました。あいにく雲がかかっていましたが、時々雲の合間から日が差しこんだ時の旭岳の景色は綺麗でした。気温16度くらいと少々肌寒い天候でしたが、日頃の仕事の忙しさを忘れてしまうような眺めでした~(^O^)


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小児呼吸器疾患シンポジウムに参加して:3)青春小説!「もし、ドラ」をご存知ですか?

8月上旬の東京で開催されたシンポジウムでの特別講演で、ベストセラーにもなりました小説、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(敏腕マネージャーと野球部の仲間たちがドラッカーを読んで甲子園を目指す青春小説!)という本の著者の、岩崎夏海先生の講演を聞いてきました。

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ちょうど時期的に夏の甲子園の予選、そしてこの時期は甲子園の本体会の時期ですが、高校野球の話ではありませんでした。

高校の野球部の生徒(マネージャー)がドラッカーという有名な経済学者の著書を読むという、一見なんのつながりもないような話なのですが、岩崎先生によるとそこが一番大事なところということでした。

"わかりきった答えが正しいことはほとんどない!"

"顧客(お客様、もしくはサービスを提供する相手、(または野球部の相手?))は誰なのか?顧客を明確にすることが大事!"

"多くの人たちが、サービスをする相手、もしくは目標とする対象となる顧客というものについて、誤った考え方を抱いている!"

そして、具体例として、経済不況下のGM社(アメリカの自動車会社)の立て直しや、カリフォルニアのガールスカウトの人種問題についての対応の例を挙げていました。

どちらも大多数の人が賛成する案の反対のことを行なって問題を解決させていったそうです。

小児科にとっての最終の目標とする集団は、お子さんから保護者、そしてそれを取り巻く周囲の社会全体でしょうか・・・・

最後に岩崎先生は、これからは権威に依存する時代ではなく、市民一人ひとりが周囲の人や社会に何が貢献できるか、何に責任を持つかを考えて行動するマネージメントの力が必要だと話されていました。(ドラッカーの著書に、「非営利組織の時代」という本があるそうで、参考に紹介されていましたね。社会の貢献度こそが大事で、それが通常の権威を超えるような時代になって来るだろうとのことです。)

仕事や職種は違いますが、大変参考になったお話でした(^O^)

 

 

夏休み、してきました(^O^)

  • Posted by: tsuchida
  • 2012年8月14日 16:54
  • その他


お盆前なのに、街中を吹く風はもう秋の気配のこの頃ですね。

先週は、木曜日から土曜日まで休診させていただきまして、夏休みとお盆休みの兼用で充電させていただきました。

休診中はお子さんや保護者の方にご迷惑をおかけしまして、

すみませんでしたm(_ _)m

今日からは、またリフレッシュして診療再開です。よろしくお願いします。

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夏休みは、十勝地方の旅行と、帰りがけに墓参り、そして最後に札幌の大通公園のビアガーデンに行ってきました。


日曜日のビアガーデンは、開催がもう残り数日ということでどこも盛況でしたね。残り少ない北国の夏を味わってきた気分です(アルコールが入ったせいか、うまく撮れませんでしたが、雰囲気だけでも味わえましたら・・・)。

オリンピック中は、ライブ観戦もあり、少々寝不足になられた方も多かったでしょうが、まだ時々日中は暑くなることもありますので、水分不足に気をつけて過ごしてください。



小児呼吸器疾患シンポジウムに参加して:2)子どもさんの長引く咳について


シンポジウムの
2番目の演題は、東海大学医学部小児科の教授の望月博之先生のお話でした。内容は、子どもさんの長引く咳についてです。

長引く咳は俗に"慢性咳嗽"とも呼ばれ、しつこい咳のために病院を受診される方が時々見られますが、この際に気をつけなければならないことと、考えられる病気についてのお話でした。

 小児でも大人と同じように、慢性咳嗽についてのガイドラインがありますが、診察の際に特に注意しなければならないのは、どのような咳が(湿った咳か、乾いた咳か)、一日の中でどの時間帯に、いつくらいの期間が持続するのかという事を丹念に調べることです。

そして実際の診察の時には、胸の音を詳しく聴き、ぜーぜーなどの喘鳴が入らないかどうかの確認も必要になってきます。

頻度の多い病気としては、風邪、喘息、蓄膿症、胃食道逆流症、心因性、タバコなどですが、これらの病気の咳を見分けるために、"湘南カフカ"という、咳のときの周波数を検出する検査機器を開発されて、実際の病気のお子さんでどのように違うかを示されていました、それによりますと、心因性や喘息、風邪の咳などの見分けがある程度できるようです

それにより的確な治療法の選択ができますね。

たかが咳ですが、長引く咳や夜間の咳は、周囲の家族の方も辛いので、このような新しい知見が多く出てきて、早く実際の診療の場面で役立てることができるようになると良いですね。

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小児呼吸器疾患シンポジウムに参加して:1)軽症の小児喘息のマネージメントについて「Early Supporting Use 」  


 
先週末に東京で開催されました、小児呼吸器疾患シンポジウムに参加してきました。

一番目の演題は、東京慈恵会医科大学小児科の准教授の勝沼俊雄先生のお話でした。


2012080417440000.jpg 内容は、小児の軽症の気管支喘息についてです。

小児科の外来を受診される喘息の多くのお子さん(ほぼ三人に一人くらい)は、喘息の発作が季節的に発作を起こすか、もしくは月に一回程度の発作しか起こらない、いわゆる軽症のお子さんです。

発作の回数も少なく症状も軽いため、ついつい"そのうち大人になったら治るだろう"と思われがちですが、実はこのような軽い喘息のお子様でも7歳までに治らないと、40代の大人の時期までも半数くらいの方が喘息を引きずっていて、治りづらいことが多いと話されていました。


「軽症の喘息のお子様でも、しっかりと診断をして、状態を評価し、治療を含めてしっかりと経過を見てゆくことが大事!」 ということです。


また、喘息の子どもさんの多くは、風邪をひくと発作が起きて症状が悪化しやすいのですが、このような時に早めに気管支を広げる薬(気管支拡張薬)などを使用すると、症状の改善が早く、呼吸状態も早めに楽になるという全国の他施設の共同研究結果を報告されていました。


早めに治療して、早めに治す : Early Supporting Use を 提唱されていました。


おねしょ(夜尿症)を治そう

  • Posted by: tsuchida
  • 2012年8月 4日 11:57
  • 夜尿症

おねしょ(夜尿症)についてのお話は、今回でとりあえず最後になりますが、今までのお話の中では、具体的な治療について触れられていませんでしたので、今回は治療について、少し詳しくお話いたします。

7月27日の前々回のブログでは、飲むホルモン剤のお薬が、新しく発売されたことをお話いたしましたが、では夜尿症の治療とはどのようにするのかということになります。

まず第一は、前回にもお話しましたが、日常生活でのご家庭で出来る対策です。この生活の大きな五つのポイントは、

1)無理やり夜中に起こさない(夜尿症だからといって、夜中にむやみに起こしておしっこをさせようとすると、夜尿をしにくくする抗利尿ホルモンというホルモンの分泌が減るために夜尿が一層悪化します。)

 2)水分の取り方に注意する(夕食は塩分を多く取りすぎないようにし、なるべく寝る前の2時間以上前に終わらせて、その後はなるべく水分を取らないようにする。その前の時間帯の日中に必要な量の水分を取るようにします。)

 3)規則正しい生活(夜ふかしや不規則な生活は夜尿を悪化させるので、早寝、早起き、決まった時間の食事の習慣をつけましょう。)

4)冷えしょうの改善(寝る前に入浴などで体を温め、寒さが厳しい季節には布団を温めておくなどして、手足が冷たくならないようにしましょう。)

5)おしっこのがまん訓練(膀胱を大きくするために、おしっこのがまん訓練が必要です。トイレに行きたくなったときにでも、少し注意をそらすなどして、おしっこをするのをなるべく我慢させるようにしましょう。)

以上の対策を行っても夜尿が改善しない場合には、


お薬1:抗利尿ホルモン剤などの、ホルモンで尿量を少なくする飲み薬、2:抗コリン剤などの、膀胱の機能などを安定させて膀胱の尿量を増やす飲み薬、3:三環系抗うつ薬などの、上の二つの作用を合わせ持った飲み薬など)を使用して、夜尿を改善させたり、アラーム療法(パンツに水分を感知するセンサーを取り付け、おしっこの水分を感知するとアラームが鳴り、排尿を抑制する一種のがまん訓練のようなもの)で夜尿を改善させるような治療法があります。

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