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2012年1月 Archive

旭川でも、インフルエンザが大流行の兆し!!

昨日は夜の6時から10時まで、旭川市内の小児科の夜間救急当番医の救急診療を行いました。

4時間ほどで27~28名の患者さんが受診されましたが、そのほとんどの方が高熱や倦怠感で来院されました。


市内の小学校や中学校で、インフルエンザ様症状による欠席者の増加のため、学級閉鎖や学年閉鎖が多くなって来ていましたので、

診察の結果から、診断のためにインフルエンザの迅速診断キットを使用した方が多かったのですが、その結果インフルエンザ陽性の方が10名以上で、実に受診された方の半数近くの方がインフルエンザでした!

 ほとんどの方はAで、中には数名B型の方もいらっしゃいました

年長児の方が多く、倦怠感や吐き気の強い方も多いため、点滴でのインフルエンザ治療薬(商品名:ラピアクタ)を使用する方も4~5名いらっしゃいました


夜間の救急当番医は、市内で1医療機関のみですので、その時期の市内の流行状況を表していることが多く、昨日の救急当番医の状況は、旭川でもインフルエンザが大流行するような兆しかと思われます
皆さんも今まで以上に、うがいや手洗い、マスクの着用などをしっかりとしてください。そして、不規則な生活を避け、食事をしっかりと摂ってくださいね。




ロタウイルス胃腸炎とロタウイルスワクチン

週の水曜日(1月25日)に、旭川でロタウイルス胃腸炎とそれに対するワクチンの講演会がありました。講演していただいた先生は、札幌医科大学小児科学教授の 堤先生です。


前半はロタウイルスによる胃腸炎のお話です。

ロタウイルスによる胃腸炎は、脱水症状などで重症化しやすく、札幌の乳児院では入院する胃腸炎の40%以上がロタウイルスによる胃腸炎だそうです

(ちなみにノロウイルスによる胃腸炎は12%と、ロタウイルスの3分の1以下だそうです)。

世界中では年間に約240万人のお子さんが入院し、治療のかいなく60万人以上のお子さんが亡くなる病気で、ロタウイルスによる胃腸炎は下痢と脱水・発熱でウイルス性胃腸炎の中でも重症感が強い胃腸炎です。


ロタウイルスが体内に入り込むことにより、小腸と呼ばれるところの細胞が壊され、消化物の中の水分を体内に吸収する力が弱まるために、ひどい水下痢になります。

また下痢や脱水だけではなく、脳症と呼ばれる重症の脳の病気も合併することもあり、お子さんの脳症の原因ではインフルエンザなどに次いで3番目に多い病気でもあります。

治療は、とにかく脱水を防ぐために、どんどん電解質と呼ばれるものが入っている水分を、口からや点滴などでお子さんの体内に入れることにつきます。あまり水分が取れない場合は、やむを得ず入院して数日間点滴をして治すこともあります。



後半は、昨年の秋に発売された、ロタウイルス対するワクチン(商品名:ロタリックス)についてのお話です。

ロタウイルスによる胃腸炎は、メキシコの統計では、2歳までに96%のお子さんがかかりますが、その70%は無症状で、2度かかるお子さんは70%くらい、3度かかるお子さんは40%位もいるそうですが、回数を重ねるたびにだんだんと症状が軽くなってゆくことが分かりました。

そのため、実際にロタウイルス胃腸炎にかかる前に、ワクチンで免疫をつけておくと、実際にかかった時には軽くすみ、入院するお子さんの割合が9割以上もなくなります。

このワクチンは、生後6週から24週までの間に飲むワクチンです。

ただしこのワクチンを飲むと、その後4週間はほかのワクチンを受けることが出来ないので、ワクチンの接種スケジュールを組むのが大変ですが、組み合わせ次第で、ほかのワクチン(三種混合ワクチンやヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン)と一緒に同時接種ができますので、どのようなスケジュールを組むのが良いか、いろいろと小児科で相談されてみると良いでしょう。

このワクチンは、まだ公費助成がありませんので、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンと違って、有料になります。


このワクチンも小さなお子さんにとっては大切なワクチンですので、早く都道府県や市町村の方針で、ワクチンの無料化がされると良いですね。



旭川でもインフルエンザの流行が本格化してきました

今週に入り、当クリニックの外来ではインフルエンザと診断した方が多くなってきています。

ここ数日でも、高熱などの症状から、連日10人以上の方をインフルエンザと診断して、治療を開始している状況です。

ほとんどの方がA型のインフルエンザで、高熱を伴い、時には倦怠感が強くて、食欲の低下や脱水症状が認められる状態で受診され、診察の結果や迅速キットの結果などからインフルエンザの診断を得て、すぐに飲み薬や、吸入のお薬、点滴などの治療を開始する人が多くなりました。

まだクリニックの外来を受診する方の全体からすると、インフルエンザの方は1割弱程度ですので、それ程大流行に入ったという訳ではありませんが、小学校や中学校の3学期が始まったことを考えると、遠からず大流行になることが考えられますので、今からインフルエンザの予防をしっかりと行うことが大事ですね。

不用意に人ごみに出ないようにしたり、外出時はマスクを着用して、外出から帰ってきたらすぐにうがいや手洗いをしてください。また睡眠不足や不規則な日常生活なども極力避け、栄養のある食事を十分に摂ることも必要ですね。ここしばらくの期間は、お子さんの発熱などの症状に注意をして見てあげてください。

アレルギー(小児喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー)の勉強会に参加して

1月17日に旭川でアレルギーの勉強会がありました。

講師の先生はKKR札幌医療センター小児センター長の高橋先生で、小児喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーやその負荷試験などについて、先生を囲んで勉強会が開かれました。

最初の話題は、重症のアトピー性皮膚炎のお話です。乳児早期のかなりひどいアトピー性皮膚炎でも、ステロイドの塗り薬をしっかり使用し、時には数日間、スキンケアと塗り薬の使い方の教育的な指導のための入院をすると、見違えるようにアトピー性皮膚炎が改善するというお話です(アトピー性皮膚炎教育入院)。治療の基本的なことは、ステロイドの塗り薬の正しい知識と、正しいスキンケアに尽きるようです。

次に小児喘息についてのお話で、最近いくつかの施設で用いられている呼気(吐く息)の中の一酸化窒素(NO)を測定すると、気管支の炎症の状態が分かることや、治療薬の怠薬や、いつ喘息の治療をやめたら良いかの指標に役立つというお話でした。また運動した時の喘息発作や学童期の喘息の治療には、吸入のステロイド剤と気管支拡張剤を合わせた合剤の有用性が高いことも挙げられていました。

食物アレルギーのお話では、食物アレルギーの診断、及び除去食解除ための食物アレルギー負荷試験のやり方や、以前のこのブログでも取り上げていましたが、入院して医師の管理の下に、急速にアレルギーの元となる食物を短時間で食べさせることにより、それまで食べられなかった食物がかなりの割合で食べることができるという急速経口減感作療法(経口耐性誘導療法)について、KKR札幌医療センターでの治療内容や実績等についても触れられていました。

インフルエンザの講演会

1月16日の月曜日に、インフルエンザの講演会がありました。

富良野協会病院の小児科の先生が、「ほんとは怖いインフルエンザ」と題して、新型インフルエンザ(当時)の流行した時期の話を中心に、インフルエンザワクチンや新しいインフルエンザの治療薬についても講演されました。

3年前の新型インフルエンザが流行した時は、富良野地方でも新聞に載るほどの大流行になり、1日で400人以上のお子さんが小児科を受診され、治療を受けたそうです。その中には重症のお子さんも多く、特に通常の(季節性の)インフルエンザに比べて呼吸が苦しくなり、酸素を使用するため入院の頻度が高くなり、肺炎や呼吸困難の患者さんが目立って多くて治療に難渋したそうです。

その後、2年前からのインフルエンザの流行は、以前から流行しているA香港型やB型がほとんどですので、入院率もそれほど高くなく、しかも1回の点滴(商品目:ラピアクタ)や吸入(商品目:イナビル)などで治療できるインフルエンザのお薬が発売され、治療の選択肢も広がってきています。しかしながらインフルエンザの対策は予防で、ワクチンに加え、基本的にこの時期は手洗いやうがいをしっかりする習慣が必要ですね。

今日の木曜日の外来でも、インフルエンザのお子さんが7~8人以上受診されてきており、これから流行の時期を迎えますので、お子さんの生活に注意してみてあげてください。

インフルエンザが少し流行りだしてきました

正月が明けてから、ほぼ2週間ほどが経ちました。

外来は相変わらず風邪も少なく、予防接種(ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、三種混合ワクチン、MRワクチンが多いですね)の方が目立っていますが、少しずつインフルエンザに罹られる方も出てきているので注意してください


昨夜(1月15日の日曜日)は、夜の6時から10時までの夜間救急当番医でした。

救急で来院される方は、いつもの休日の夜間救急当番医に比較すると、25名前後と少ない傾向でしたが、3名ほどインフルエンザA型の患者さんが発症して受診されました

いずれの方も高熱でしたが、重症感は少なく、水分の摂取もまあまあ取れていらっしゃるようでした。年末はインフルエンザの方は殆どいらっしゃらなかったので、1月に入り少し流行の兆しが見えてきているようです

今週後半からは、小学校や中学校などの集団生活が始まりますので、少しずつインフルエンザが流行してくることが予想されるため、睡眠や栄養を十分に摂り、外出時などはしっかり手洗いやうがいを行なってください

これから受験の時期にもなってきますので、受験生の方は、睡眠時間を沢山取るのは無理かもしれませんが、体力や免疫力が落ちないように、しっかりと栄養を摂って試験に備えてくださいね。

インフルエンザとマイコプラズマ感染症のシンポジウムに参加してきて


先週の土曜日(1月7日)に、東京で開催されましたインフルエンザ感染症とマイコプラズマ感染症のシンポジウムに参加して来ました。

インフルエンザ感染症の講演では、インフルエンザワクチンの効能や効果、新しい治療薬を含めた治療戦略、などの話がありましたが、興味が惹かれたのは、徳島大学の先生が、飲みくすりや吸入のインフルエンザの治療薬を使用すると、未使用の方に比べて治癒後のインフルエンザウイルスに対する抗体の上がり方が少ないということでした。 

言い換えれば、早期の治療薬の使用でインフルエンザ感染症の症状は早めに良くなるものの、免疫は付きづらいとのことでした。


そのため、今後治療薬を使用してもさらにその後のインフルエンザウイルスに対する免疫もしっかり付くような治療戦略が必要であるというお話でした。


また、今後の治療薬として、インフルエンザウイルスのみならず、他の数種類の重篤なウイルス感染症に有効な開発中の新薬の話題もありましたが、これが使用出来るようになるとさらにウイルス感染症の明るい話題になると思われます。


マイコプラズマ感染症では、札幌の徳洲会病院の先生が、最近話題のマクロライド系の抗生剤に耐性(薬が効きづらい)のマイコプラズマ感染症について講演をされていました。

確かに最近になり、耐性のマイコプラズマ感染症が多くはなったものの、その増殖の力は弱く、耐性であってもマクロライド系というこれまでの薬を使用すると、マイコプラズマという細菌を殺す力は弱くても、この薬の炎症を抑える力により、肺炎やほかの症状を改善させることがよくあるので、マクロライド系の薬が耐性だからといって、改めて新薬などの他の薬を多く使うような状況にはしない方が良いだろうということでした。

 


明けましておめでとうございます。

  • Posted by: tsuchida
  • 2012年1月 6日 14:40
  • 小児科

明けましておめでとうございます。

昨年は、いろいろと大変な年でしたが、今年は是非良い年でありたいですね。みなさんのお力で、是非良い年にしましょう!


昨年の仕事納めは、12月30日の年末休日救急当番医でしたが、今年の当番医は例年より少し時間が長くなり、朝の9時から夜の10時までの13時間の診療でした。

半日以上働き詰めの事務・看護スタッフのみんな、お疲れ様でした。

日中から夜間の時間を通して、約200人近い患者さんが受診されましたが、幸い今年はインフルエンザの患者さんはほとんど見かけず、発熱や胃腸炎の患者さんが多かったようですね。

中には高熱や嘔吐などで食事や水分もあまり取れない乳幼児のお子さんも受診されましたので、点滴などの処置が必要な方もいらっしゃいましたが、例年に比較すると、やや落ち着いていたような年末の救急当番医でした。

それでも、年の瀬の慌ただしい時間を控えて、保護者の方の心配も通常の救急当番医の時に受診される時以上に増していましたので、事務や看護スタッフによる、病気のお子さんへの家庭でのケアや注意事項の説明の時間が多くなっていました。


やはり休診日が続くことや大晦日・お正月を控えていることで、保護者の方自身も気持ちが落ち着かないこともあったようですが、スタッフの説明や家庭での病気や食事への指導のお話が少しでも役立って、みなさんのお力になっているようでしたら嬉しいですね。


今日、5日は仕事始めでしたが、重症の方の受診も少なく、お子さん方にとっても保護者の方にとっても、今年はやや明るいお正月を迎えられているかな、というような感じの年明けでした。この調子で今年一年、穏やかな明るい年でありますように・・・。

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