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第22回日本外来小児科学会にて(その3);ワクチンで防げる病気(VPD)の最近の話題について(1)

学会の一日目のランチョンセミナーはワクチンのスケジュールについてのお話でしたが、その中で、ワクチンで防げる病気(VPD :麻しん、風疹、結核、百日咳など)についての新しい話題のお話でした。


1) 麻しん(はしか)は、最近になりかかる人が少し多くなって来ましたが、はしかウイルスの株の分析によりますと、昔のはしかは国内に流行していた株が多く、その株を持った人が外国に出掛け、外国で発症しその国の人に移すために、「日本ははしかの輸出国だ!」と諸外国から非難されていましたが、最近の日本国内ではしかで発症する人のはしかの株は、ほとんどが外国での発症の株のため、「日本ははしかの輸入国になってしまった!」ということです。世界中での移動が容易な今日、はしかのワクチンをしっかり受けましょう。


2) 風疹は、妊婦さんがかかってしまうとお腹の赤ちゃんに奇形が起こる大変な病気のため、成人女性に気を配られがちですが、実は風疹にかかってしまう人で一番多いのは、成人男性なのです! 男性のほうが女性の2~3倍もかかっており、しかも一番かかっている年代は20~30台の男性です。そうです、妊婦さんのパートナーが一番風疹にかかっているのです。そのため日本産婦人科学会のHPには、「風疹が流行しています!妊婦の夫世代が最多!!妊婦さん本人は風疹ワクチンを受けられません。妊婦さんが風疹にかかるとお腹の赤ちゃんに高率に奇形が発生します。妊婦さんの同居家族は風疹ワクチンを受けて下さい!」と注意が喚起されています。


3)BCGは乳幼児の重症の結核(髄膜炎や重い肺炎など)の予防に必要です。1年間に新しく発症する小児の結核患者さんは1965年では44180人だったのが、1975年では4905人、2009年では73人とかなり減っています。でも日本は先進国の中ではまだ成人や老人の結核患者さんが多い「結核の中程度の蔓延国」です。そのため先進国のように、今現在BCGの接種を止めてしまうと乳幼児の結核の患者さんがかなり増えますので、BCGもしっかり接種しましょう。ただし、近い将来にはBCGの接種時期が少し変わるかもしれません。


4)百日咳もワクチン(三種混合ワクチン;DPT)を接種する時期から、子どもさんの病気と考えられがちですが、最近は成人の方の百日咳が増加しています。なんと全体の患者さんの6割くらいの方が15歳以上の生徒、成人、老人なのです。これは小児の時期ではワクチンの効果が残っていますが、成人になるにつれてワクチンの効果が減ってかかりやすくなる上に、成人の方の百日咳は症状が強くないので、長引くカゼくらいに捉えられ、未治療ですと周囲の乳幼児や小児に感染させ、そのお子さんたちが百日咳になってしまっています。そのため、今後は小学校6年生に接種している2種混合ワクチン(破傷風とジフテリア)に更に百日咳を加え、新しい三種混合ワクチンを小学生や中学生に接種しなければならないと考えられています。先進国の中では、成人の方の百日咳の予防のために成人にも三種混合ワクチンを接種している国もあります。


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